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国内テニス

【伊達公子】強い日本女子テニス界にするために!新設大会を進化させプロへの道筋を作る<SMASH>

伊達公子

2023.12.01

1.5万ドル大会活性化が「日本女子テニスを成長させてくれると信じています」と言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

1.5万ドル大会活性化が「日本女子テニスを成長させてくれると信じています」と言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

「一般社団法人 Japan Women’s Tennis Top50 Club(以下JWT50)」で、今年ITFテニスツアー1.5万ドルの6大会を設立しました。1年目を終えてある程度の手応えを感じていますが、常に進化するために、JWT50メンバーで今後の方向性について何度も話し合いました。

 グレードを上げるかという案も出ましたが、今のところプロへの登竜門である1.5万ドルを継続していく方向になりました。理由はエントリーするジュニアが溢れるぐらいいるわけではなく、意識を高めるべき選手ももっと増えるべきですし、まだプロと互角の勝負ができているわけでもないからです。

 予選を突破し、本戦でもベスト8、4、決勝に出れるようなジュニアがポツポツと出てきたという状態にならなくては、日本女子テニスの可能性は広がってこないと感じます。

 今年行なって気付いたことの1つにワイルドカード(主催者推薦/以下WC)を誰に与えるかという点があります。当初はジュニアを中心に考えていましたが、大学生にWCを出した時に、しっかりと結果を出してくれました。来年は大学生にもチャンスを与えていきたいと思っています。

 私たちの強みは、予選6本、本戦4本のWCを全て自分たちでコントロールできていることです。だからこそWTAランカーを出すことができました。WC選手権の勝者が獲得する以外の分を、誰に与えるかについての議論は、JWT50メンバー内でも様々な意見があるため毎回2、3時間かかっています(笑)。
 
 札幌の3週連続の大会はとても好評だったので継続していきたいと考えています。特に女子寮があったことが親御さんに感謝されました。食事付きで洗濯機もあり、会場までのバスも準備したため、コーチや親御さんが付いてこないケースが多かったですね。ただ、寮にエアコンがなく、北海道が稀にみる猛暑になったことは誤算でした。来年は冷房の問題をどうにかクリアしたいところです。

 ジュニアたちはITFジュニアのランキングを上げて、グランドスラムジュニア出場を目標にしていることが多いです。しかし、高校2年生ぐらいで急成長した場合、グランドスラムジュニアを目指すのはかなり難しいでしょう。

 その中で世界を目指すならば、ITFジュニアではなく1.5万ドルの大会へ出場する方に切り替える方法もあると、今回示すことができました。その可能性を作れたことは大きいですし、そのルートをより確かなものにしていきたいですね。

 JWT50の目的は強い日本女子テニス界にすることです。1.5万ドルの大会にジュニアが積極的に出場するようになると、下から突き上げられるわけですから、プロにとっても良い刺激になるでしょう。そういう環境が日本女子テニスを成長させてくれると信じています。

 世界を目指しているジュニアにとって、絶対に必要な大会であるという確信はあります。この環境を必要とする選手たちの数が増えていくことを願います。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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