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17歳坂本怜が全豪OPジュニア決勝進出!「日本男児らしく」“サムライ・レイ”が頂点を目指す<SMASH>

内田暁

2024.01.27

第4シードの坂本は準決勝で第2シードのブドコフ ケアーにストレートで勝利。2019年にウインブルドンジュニアを制した望月慎太郎以来、史上2人目の四大大会ジュニア男子シングルス決勝進出を決めた。写真提供:内田暁

 勝利の直後、コートの中央に片ヒザを突き、日本刀に見立てたラケットを天に掲げるその姿は、いつのまにか大会でも、人々の注目を集めるようになった。

 全豪オープンテニスジュニア男子シングルスで決勝に進出した坂本怜は、あらゆる意味で"大物"感の漂う17歳だ。

 まずは純粋に、身体が大きい。身長は195センチ前後で、本人曰く「まだ伸びている」。もっともその前に「生まれた直後から伸び始めて……」と言うあたり、どこまでが本気でどこからが冗談か、なかなかつかみどころがない。

 そのスクスクと伸びた長身を利して、今大会では好サーブを連発している。最高速記録は時速211キロを計測。これは男子ジュニア参戦選手中、7位タイの記録である。

 サービスは恐らくは坂本が、昨シーズンから今季にかけて、最も磨きをかけた武器だろう。

 そのことを確認すべく本人に尋ねると、「秘密です」と応じてニヤリと笑う。「秘密」ということは、取り組んでいる何かがあることの裏返しでもあるだろう。そうさらに水を向けると、「めちゃめちゃ、やってきました」と認めた。

 ちなみに"強化のヒント"を尋ねると、一言、「キリオスです」との返答。

 確かに長身痩躯、少し背を丸めてクイック気味に打つサービスフォームは、オーストラリアのビッグサーバー、ニック・キリオスにそっくりだ。
 
 かくのごとく、ユーモラスで悠揚とした風情の坂本だが、幼い頃は、むしろシャイだったという。その性格が変わり始めたのは、通っていた地元名古屋の"チェリーテニスクラブ"の影響が大きいらしい。

「コーチが面白い人で、罰ゲームでみんなの前で一発芸とかやらされたので、鍛えられました」と明かしたのは、1年ほど前のこと。

 加えて、盛田正明テニスファンドの支援を受け、米国フロリダのIMGアカデミーに拠点を移した影響もあるだろう。声を上げねば置いていかれる"弱肉強食"の場に身を置き、自分を表現する術も学んだ。トッププロたちが身近にいて、望めば練習できる環境も大きい。

 実際に坂本も、憧れの錦織圭と、ボールを打ち合う機会を得た。

「せっかく背があるんだから、もっと攻めて前にも出てきた方が怖い。やっている方としては、いやだと感じるよ」

そんな助言をもらったのは、1年以上前のことだった。
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