その当時の坂本は自分の持ち味を、「意外にシコれるのが、坂本怜の嫌なところでして……」と、独特の言い回しで表現した。

　もちろん、高い守備力は今も彼の持ち味。ただ、攻める力が絶対的に必要だと痛感したのが、昨年の秋に日本のチャレンジャー３大会に出場した時だった。

　IMGのコーチ曰く、「その頃から、意識が確実に変わった」

　今の坂本はサービスのみならず、リターンもポジションを上げて叩く。フィジカル強化で自信を深めたフォアで押し込み、ネットも果敢に取る超攻撃的プレーヤーに変貌した。
  　そんな坂本のポテンシャルは、ナショナルチームにも高く評価されている。先日発表された、２月上旬のデビスカップ対レバノン戦の日本代表チームには、坂本の名が加わった。

「数日前に知ったばかり。びっくり」と、本人はやや戸惑い気味。とはいえ直後に、「若さを出していきたい。ガキんちょ感というか」と、“らしい”坂本節も飛び出した。

「チームみんなに、“侍ポーズ”、やってほしいですね」……そんな野望も、実は心に秘めている。

　今後の予定について、「全てはここでの結果次第」と言ったのは、今大会が開幕したばかりの頃。

　それだけの覚悟を胸に、決勝の舞台に駆けあがった。

　それでも、「ここでの優勝は、夢ではない」

　心機一転、「日本男児らしく」と短く刈り揃えた髪形にも決意を込め、メルボルンで頂点目指し“サムライ・レイ”がゆく。

現地取材・文●内田暁

※坂本が出場する全豪オープンジュニア・男子シングルス決勝は現地27日、センターコートの第２試合に行なわれる。対戦相手はノーシードのヤン・クムスタット（チェコ）

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