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「片手打ちバックハンド」は絶滅危惧種なのか?男子テニス世代交代の波とともにプレースタイルも転換期に<SMASH>

内田暁

2024.03.07

次代の王者候補と目されていたチチパス(写真)がトップ10陥落となった現在、片手打ちバックハンドはこのまま衰退の道を辿るのか…。(C)Getty Images

 男子テニス(ATP)ランキング史上、初めてトップ10から片手打ちバックハンドが姿を消してから、3週目に突入した。

"片手バックハンドランキング"最上位は11位のステファノ・チチパス(ギリシャ)で、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)が13位でそれを追う。トップ100の片手バックは、11名。最年少は、3月3日に22歳の誕生日を迎えたばかりのロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)で、現在26位に付けている。なおトップ100の片手バックは、チチパスを筆頭に25歳がボリューム層だ。

 この、20代半ばの片手勢に圧倒的な影響を及ぼしたのが、ロジャー・フェデラー(スイス)なのは間違いない。チチパスは幼少期から、フェデラーに憧れ、そのプレーを目に焼き付けてきたと言った。

 ただテニスを始めた頃のチチパスは、日によって、片手と両手のいずれでもバックハンドを打っていたという。そして彼が8歳か9歳になった時、当時のコーチが彼に言った。

「君ももう、良い年齢だ。どっちかに決めなさい」……と。

 果たして決断を迫られたチチパス少年は、悩み、父にも相談し、そして最終的には、自分の直感に委ねることにした。

「コーチに言われた次の日は、両手で打ってみた。次の日は片手にした。そしてその時以来、僕はずっと片手で打っている。両手打ちの自分をイメージした時に、あまり格好良いと思えなかったんだ」

 それが、昨年末にチチパスが明かした片手選択の理由だ。
 
 現在はゲカでランキングを落としてはいるが、最高位10位のデニス・シャポバロフ(カナダ)も、フェデラーと自分を重ねて片手打ちになった一人である。重いラケットを両手で握っていた幼いシャポバロフに、コーチでもある両親が「片手で打ってごらん」と進言したのは、彼が6歳の日。

「それを聞いて『ロジャーみたいに打つってこと?』って興奮したし、そこからはずっと片手打ちなんだ」

 数年前にシャポバロフは、そんな"始まりの時"を満面の笑みで回想してくれた。
 
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現在の指導者たちは片手打ちにダメ出し