クレーコートのグランドスラム「全仏オープン」が終わり、テニスは芝のシーズンに入りました。選手はクレーから芝へと戦い方を変えることになります。まず私がしていたことは、ストリングのテンションを、クレーの時は少し柔らかくしているので、芝になったら天候や体調などを考慮して少し調整することでした。
頭の中も切り替えます。芝はネットが柔らかいためコードボールが入る確率が高くなりますし、イレギュラーも多くなります。逆をつかれた時の身体の切り返しなどにも対応する必要があります。そういうボールへのリアクションをよくすること。立つ位置は少し前になり、ネットに行く機会も増えます。これらのことを頭の中でイメージして、実際の練習で意識してプレーを変えていきます。ボレーやドロップショット、スライスの練習も増やしていました。
芝ではボールの軌道も低くなるため、その点も意識していました。自分のプレーだけでなく、相手もそういうプレーをしてくるという前提での準備も必要です。
身体の疲れる場所も変わります。芝は柔らかいため大袈裟に言えば足がぐにゅっとめり込む感じになるため、股関節回りが疲労します。この部分は特に重点的にケアするようにしていました。
芝のシーズンは短く、全仏オープンの3週間後にはウインブルドンが始まります。短期間でこの調整をするのは、本当に大変です。しかし、この切り替えのタイミングで1度オフは取った方がいいでしょう。
私はファーストキャリアで全仏オープンの序盤で負けていた時は、心の充電をするために日本に帰っていました(笑)。そして2週目が見えるようになってからは、時間的に帰れなくなりましたが、現地でオフは取っていました。オフを作ることで身体も回復しますが、一番は頭がリフレッシュできることが大きいです。
この期間に帰国しないと、長期間の遠征になります。その上、クレーと芝ではシューズが違うため、シューズだけで最低4、5足持っていかなくてはいけませんでした。サプリメントも摂っていたため、期間が長くなると荷物はどんどん増えていきます。私は80キロぐらいの荷物で移動していました。長期の遠征が続いている選手は今、心身共に疲弊していることでしょう。
芝のシーズンを戦うにあたりアドバイスするとすれば、「芝とお友達になりましょう」です。イレギュラーが多いので、芝でのプレーはイライラが募ります。クレーだとなんとなく「あの辺は土が多いな」など見た目でわかる部分もありますが、芝はまったく予測できません。忍耐が必要なサーフェスなんです。難しいですが芝と仲良くなり冷静を保ってプレーしましょう。
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
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頭の中も切り替えます。芝はネットが柔らかいためコードボールが入る確率が高くなりますし、イレギュラーも多くなります。逆をつかれた時の身体の切り返しなどにも対応する必要があります。そういうボールへのリアクションをよくすること。立つ位置は少し前になり、ネットに行く機会も増えます。これらのことを頭の中でイメージして、実際の練習で意識してプレーを変えていきます。ボレーやドロップショット、スライスの練習も増やしていました。
芝ではボールの軌道も低くなるため、その点も意識していました。自分のプレーだけでなく、相手もそういうプレーをしてくるという前提での準備も必要です。
身体の疲れる場所も変わります。芝は柔らかいため大袈裟に言えば足がぐにゅっとめり込む感じになるため、股関節回りが疲労します。この部分は特に重点的にケアするようにしていました。
芝のシーズンは短く、全仏オープンの3週間後にはウインブルドンが始まります。短期間でこの調整をするのは、本当に大変です。しかし、この切り替えのタイミングで1度オフは取った方がいいでしょう。
私はファーストキャリアで全仏オープンの序盤で負けていた時は、心の充電をするために日本に帰っていました(笑)。そして2週目が見えるようになってからは、時間的に帰れなくなりましたが、現地でオフは取っていました。オフを作ることで身体も回復しますが、一番は頭がリフレッシュできることが大きいです。
この期間に帰国しないと、長期間の遠征になります。その上、クレーと芝ではシューズが違うため、シューズだけで最低4、5足持っていかなくてはいけませんでした。サプリメントも摂っていたため、期間が長くなると荷物はどんどん増えていきます。私は80キロぐらいの荷物で移動していました。長期の遠征が続いている選手は今、心身共に疲弊していることでしょう。
芝のシーズンを戦うにあたりアドバイスするとすれば、「芝とお友達になりましょう」です。イレギュラーが多いので、芝でのプレーはイライラが募ります。クレーだとなんとなく「あの辺は土が多いな」など見た目でわかる部分もありますが、芝はまったく予測できません。忍耐が必要なサーフェスなんです。難しいですが芝と仲良くなり冷静を保ってプレーしましょう。
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