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カナダで復活白星の元10位カレノブスタ、1年半に及んだ故障離脱中の苦しみを回想「どう人生が続くのかわからなかった」<SMASH>

スマッシュ編集部

2024.08.07

ヒジの故障で1年半ツアーを離れていたカレノブスタ。今週のナショナルバンクOP1回戦で勝利し、復活をアピール。(C)Getty Images

 ケガで戦線離脱していた男子テニス元世界ランク10位のパブロ・カレノブスタ(スペイン/現799位)が、今年のクレーシーズン終盤から徐々に復帰を果たしている。2年前に優勝したマスターズ1000大会「ナショナルバンク・オープン」(8月6日~12日/カナダ・モントリオール/ハードコート)出場を前に、苦しかった復帰までの胸中をATP公式サイトのインタビューで語った。

 現在33歳のカレノブスタは、2022年のこの大会で当時世界14位のマテオ・ベレッティーニ(イタリア)、同26位のホルガー・ルネ(デンマーク)、同12位のヤニック・シナー(イタリア)らを下す快進撃を見せ、決勝では同10位のフベルト・フルカチュ(ポーランド)を倒して優勝。キャリアで最高の1週間をモントリオールで過ごした。

 しかし翌23年2月の「ABNアムロ・オープン」(オランダ・ロッテルダム)を最後に右ヒジのケガのためツアーを離脱。10月にはチャレンジャーから復帰したが、2大会を終えた時点で痛みに耐えられず手術を決行する。結局ツアー離脱の期間は1年半に及んだ。

「もちろん、またここに戻って来られて特別な気分だよ。2年前にここモントリオールで初めてのマスターズを取ったんだからね。でもそれだけじゃない。この1年半、ケガでツアーを離れていて、また戻って来られたことも重要なんだ。テニスを続けられるかどうかもわからなかったのに、またツアーに参加できるなんて」
 
 ヒジは、テニスをしている時だけ痛むこともあれば、寝ている時でさえ痛いこともあった。常に痛みにとらわれていることがつらかった。先の見えない状況に、復帰を諦めかけたこともあったという。

「引退を考えたこともあった。したくはないけど、1年半も休んでいたら色々考えるのが普通だよ。引退後、どのように人生が続いていくのかわからなかった」

 そんな苦しい時期を支えたのは家族との時間だったという。ツアーで世界を回っていた時期には得られないものでもあった。

「復帰するために色んな努力をした。理学療法士や医師の治療を受け、フィットネスにも励んだ。テニスにもトライした。つらいこともあったけど、時間がたっぷりあったのも事実だ。1年半の間に家族と楽しむ時間がたくさんあったし、普段はできないようなこともできた。例えば、去年の夏は休暇に出掛けた。普段ならアメリカかカナダでトーナメントを戦っているから、いつもとは違う。でも今は、ここでテニスをしている方が好きなんだ」

 今年の全仏オープンで復帰し、ここまで出たシングルス4大会で白星はチャレンジャー大会での1勝のみだった。だが現地8月6日に行なわれたナショナルバンクOP1回戦では、ファビアン・マロジャン(ハンガリー/49位)と対戦し、6-7(8)、7-6(6)、6-3で逆転勝利。去年の全豪オープン以来となるツアーレベルでの勝利を挙げた。

 15歳までは生まれ故郷ヒホンのハードコートで育ったというスペイン人が、完全復活へ向け得意のサーフェスで戦い続ける。

構成●スマッシュ編集部

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