試合後の会見室に現れた彼女は、テニスコートを去った時よりもはるかに、穏やかな表情を浮かべていた。
「たくさんの観客が応援してくれたことが、すごくうれしかった。すごく懐かしい感じだった」
大坂なおみ(世界88位)が"アーサーアッシュスタジアム"で試合をするのは、2022年全米オープンの初戦以来。2年後の今年、2万人近いファンが見守る中でのカロリーナ・ムチョバ(チェコ/同52位)との対戦は、3-6、6-7(5)の敗戦に終わった。
試合の約1時間後。会見席に座る彼女は、時おり笑みも浮かべながら、ムチョバ戦を、そして出産から復帰した今シーズンの歩みをも、真摯に振り返っていった。
敗戦の2日前――。初戦で第10シードのエレナ・オスタペンコ(ラトビア/同10位)と対戦した大坂は、完璧に近いプレーを披露した。6-3、6-2のスコアもさることながら、特筆すべきは、試合を通じわずか5本に抑えたアンフォーストエラー。2017年全仏優勝者の強打を、確実に打ち返しミスを誘った。
ただ2回戦で対戦したムチョバは、オスタペンコとは好対照とも言える選手。実際に大坂も、ムチョバ戦後に「今日は、オスタペンコ戦とはかなり違った試合だった」と述懐した。強打一辺倒とも言えるオスタペンコに対し、ムチョバは、ショットバリエーションと戦略性に長ける。初戦とは一転、大坂のアンフォーストエラーは21本を数えた。
全米オープン開幕2週間前のシンシナティ・オープンを予選敗退で終えた時、大坂は自身のソーシャルメディアに、「まるで自分の身体に自分がいないよう」と綴った。
その理由を探した時、大坂は「必要なのはコート上で過ごす時間だと気付いた」と言う。さらには「自分を『攻撃的選手』と定義する必要はないと気付いた」とも言った。
「わたしが好きなのは、ゲーム。ラリーを打ち合い、チャンスを待ち、それを生かすのが好き」
はたして初戦のオスタペンコ戦では、大坂は遮二無二ウイナーを狙うのではなく、相手のミスをさそうテニスを完遂する。
一方で2回戦のムチョバ戦では、戦術面や試合運びで、相手に上回られた。
「重圧の掛かる場面で、ナーバスになってしまった。そのような感覚に慣れるためには、大舞台での試合経験がもっと必要なのかもしれない」
そう大坂は振り返る。第2セットで、3連続セットポイントを生かせなかった局面などは、そのようなもどかしさの際たる例だろう。
「たくさんの観客が応援してくれたことが、すごくうれしかった。すごく懐かしい感じだった」
大坂なおみ(世界88位)が"アーサーアッシュスタジアム"で試合をするのは、2022年全米オープンの初戦以来。2年後の今年、2万人近いファンが見守る中でのカロリーナ・ムチョバ(チェコ/同52位)との対戦は、3-6、6-7(5)の敗戦に終わった。
試合の約1時間後。会見席に座る彼女は、時おり笑みも浮かべながら、ムチョバ戦を、そして出産から復帰した今シーズンの歩みをも、真摯に振り返っていった。
敗戦の2日前――。初戦で第10シードのエレナ・オスタペンコ(ラトビア/同10位)と対戦した大坂は、完璧に近いプレーを披露した。6-3、6-2のスコアもさることながら、特筆すべきは、試合を通じわずか5本に抑えたアンフォーストエラー。2017年全仏優勝者の強打を、確実に打ち返しミスを誘った。
ただ2回戦で対戦したムチョバは、オスタペンコとは好対照とも言える選手。実際に大坂も、ムチョバ戦後に「今日は、オスタペンコ戦とはかなり違った試合だった」と述懐した。強打一辺倒とも言えるオスタペンコに対し、ムチョバは、ショットバリエーションと戦略性に長ける。初戦とは一転、大坂のアンフォーストエラーは21本を数えた。
全米オープン開幕2週間前のシンシナティ・オープンを予選敗退で終えた時、大坂は自身のソーシャルメディアに、「まるで自分の身体に自分がいないよう」と綴った。
その理由を探した時、大坂は「必要なのはコート上で過ごす時間だと気付いた」と言う。さらには「自分を『攻撃的選手』と定義する必要はないと気付いた」とも言った。
「わたしが好きなのは、ゲーム。ラリーを打ち合い、チャンスを待ち、それを生かすのが好き」
はたして初戦のオスタペンコ戦では、大坂は遮二無二ウイナーを狙うのではなく、相手のミスをさそうテニスを完遂する。
一方で2回戦のムチョバ戦では、戦術面や試合運びで、相手に上回られた。
「重圧の掛かる場面で、ナーバスになってしまった。そのような感覚に慣れるためには、大舞台での試合経験がもっと必要なのかもしれない」
そう大坂は振り返る。第2セットで、3連続セットポイントを生かせなかった局面などは、そのようなもどかしさの際たる例だろう。