海外テニス

全米3回戦でまさかの敗戦を喫したジョコビッチ。五輪でエネルギーを費やし「ガス欠だった」と敗因を語る<SMASH>

中村光佑

2024.09.01

相手のポピリンを称えつつ、「これまでで最悪のテニスをしてしまった」と自身のプレーを嘆いたジョコビッチ。全米3回戦で姿を消した。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「全米オープン」の男子シングルスでまたも波乱が起こった。前回覇者で第2シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア/世界ランク2位)が、現地8月30日に行なわれた3回戦で第28シードのアレクセイ・ポピリン(オーストラリア/28位)に4-6、4-6、6-2、4-6で敗れた。

 パリ五輪で悲願の金メダルを獲得した37歳のジョコビッチは今大会に第2シードで参戦。ラドゥ・アルボット(モルドバ/138位)との初戦に快勝すると、同胞のラスロ・ジェレ(109位)との2回戦は相手の途中棄権で勝利し、3回戦へと駒を進めていた。

 3回戦で対峙したのは前哨戦の「ナショナルバンク・オープン」(カナダ・モントリオール/ATP1000)で殊勲のマスターズ初優勝を達成した25歳のポピリン。ジョコビッチにとっては過去3勝0敗と分の良い相手だったが、今回は14本ものダブルフォールトを犯すなど精彩を欠き、計5度のブレークを許して3時間19分で力尽きた。

 ジョコビッチが全米3回戦で敗れるのは2006年大会以来18年ぶり。この結果右ヒジの深刻なケガを負った17年以来7年ぶりに四大大会無冠でシーズンを終えることが確定した。また長らく男子ツアーを牽引してきたビッグ3(フェデラー、ナダル、ジョコビッチ)全員が四大大会で無冠となるのは、02年シーズン以来実に22年ぶりのことだ。

 試合後の会見でジョコビッチは一言「今大会を通しての感覚と初戦からの自分のプレーを考えると、3回戦に進めたことだけでも成功だ。今日はこれまでで最悪のテニスをしてしまった」とコメント。「彼(ポピリン)と彼のチームを祝福したい。彼は間違いなく良いプレーをしたし、今日は勝つに値した」と勝者を素直に称えつつ、次のように試合を振り返った。
 
「こういう速いサーフェスでプレーする際に、サービスが決まらない、サービスのフリーポイントが取れない、ファーストサービスの確率が低い、ダブルフォールトが多いといったことが起こると勝てない。特に、アレクセイのように好調で強力なサービスを打ってくる選手に対しては、自分のサービスゲームにもかなりのプレッシャーがかかるからなおさらだ。今日はただただひどい試合だった」

 今季はパリ五輪が加わったことでクレー→芝→クレー→ハードという変則的なサーフェス移行となったが、そうしたイレギュラーな状況も今大会でのプレーに大きく影響したようだ。加えてぶっつけで全米に臨んだことで調子の持っていき方も難しかったという。

「サーフェスが違った影響はもちろんあった。金メダルを取るために多くのエネルギーを費やしたし、精神的にも肉体的にもフレッシュな気分でニューヨークに来たわけではなかった。全米だから挑戦してベストは尽くしたけどね。肉体的な問題はなかったけど、単純にガス欠だったと感じた。自分のプレーからもそれがわかった。1回戦から、このコートでは全く自分の居場所を見つけられなかった」

 なお前日にはパリ五輪決勝で金メダルを争ったカルロス・アルカラス(スペイン/3位)が2回戦で敗退。銅メダルのロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/18位)も3回戦で敗れ、これにて五輪メダリストは全滅となった。

文●中村光佑

【動画】ジョコビッチがポピリンに足をすくわれた全米オープン3回戦のハイライト

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