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海外テニス

テニス界で物議を醸す“衝突事件”を受け、負傷側の連盟が抗議の声明文を発表「我々はITFに対して正義を求める」<SMASH>

中村光佑

2025.02.04

国別対抗戦のデ杯で、ベルギー選手とチェンジエンドの際に衝突し負傷したガリン。これを受け、チリテニス連盟が同大会主催の国際テニス連盟(ITF)に対し抗議した。(C)Getty Images

国別対抗戦のデ杯で、ベルギー選手とチェンジエンドの際に衝突し負傷したガリン。これを受け、チリテニス連盟が同大会主催の国際テニス連盟(ITF)に対し抗議した。(C)Getty Images

 現地2月1日に実施された男子テニス国別対抗戦「2025デビスカップ」ファイナル予選1回戦(ベルギー・ハッセルト/室内ハードコート)のチリ対ベルギー戦で発生した前代未聞の“衝突事件”を受け、チリテニス連盟が抗議の声明文を発表した。

 事件はベルギーが2勝1敗(シングルス4試合、ダブルス1試合:先に3勝で勝利)でリードして迎えた第4試合のシングルスで起きた。ベルギーはジゾー・ベルグス(世界ランキング60位)、チリはクリスチャン・ガリン(元世界17位/現133位)を投入し、試合はファイナルセットにもつれ込む接戦に。一進一退の攻防が繰り広げられる中、5-5で迎えた第11ゲームでベルグスが値千金のブレークを果たし、勝利まであと1ゲームとした。

 その直後だった。チェンジエンドの際、大事な場面で均衡を破ったことで自陣へ向かって走りながら全身で喜びを表現したベルグスと、うつむき加減でベンチに戻っていくガリンが激しく衝突。右目の当たりを押さえながら仰向けに倒れてしまったガリンがプレー続行を拒否すると、主審はガリンに遅延行為による3度の警告とゲームペナルティを与え、これにてチリの敗退が決定。何とも後味の悪い結末となってしまった。

 デビスカップ側は試合の結果をそのまま採用すると発表しており、勝ったベルギーは今年9月に行なわれるオーストラリアとのファイナル予選2回戦に進出することが確定。敗れたチリはワールドグループ1部への降格が決まった。
 
 なおこの試合で主審を務めたカルロス・ラモス氏はベルグス並びにベルギーチームに何のペナルティも科さなかった理由について、「今回の件は不幸な事故だと考えている。ベルグスには攻撃の意図は見られなかった」と説明している。

 しかしチリ側としては負傷させられた側が不利な扱いを受けたことには到底納得がいっていない様子。そこで、このほど同国テニス連盟は騒動の再発防止を訴える目的でデビスカップを主催する国際テニス連盟(以下ITF)に対し、下記の声明文を発表した。

「今回の不正行為を受け、我々はITFに対して正義を求めるとともに、チリの選手とチリテニスの利益を守るべく、あらゆる関連措置を開始することを発表します。我々は誠実さや敬意、公平さといったスポーツの価値に対するコミットメントを再確認するつもりです。全てのテニス選手に安全で公平な環境を保証するためには、これらの原則が全ての競技で優先されることが不可欠です。(中略)」

「最後に、我々は国際スポーツ当局に対し、デビスカップのような歴史と名声を持つ大会のために、今回の事件を真剣かつ客観的に再検討し、今後このような事態が繰り返されないよう求めます」

 テニス界に波紋を広げている“衝突事件”。しばらくは混乱が続くかもしれない。

文●中村光佑

【動画】ガリンとベルグスが激しく衝突したシーン

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