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連勝街道まっしぐら!今年負けなしの22歳、ロシアのルブレフは絶対に見ておくべき選手だ 【全豪1週目/男子総括vol.1】

井山夏生

2020.01.26

スピン量を抑えた強烈なフォアハンドがルブレフの武器だ。写真=山崎賢人(THE DIGEST写真部)

 全豪オープン1週目の2回戦で日本の杉田祐一(三菱電機)を一蹴したアンドレイ・ルブレフ(ロシア)。杉田もかなり好調で序盤は激しく叩き合ったが、その叩き合いで徐々に押され、最後は矢折れ刀尽きてのストレート負けだった。

 そのルブレフがスゴイことになっている。昨年11月のデ杯ファイナルから、この全豪の1週目まで負けていないのだ。今年に入ってからの連勝記録は11。デ杯から数えれば、シングルスでは15試合負けていない。

 ロシアは、デ杯ファイナルとATPカップでメンバーを入れ替えてきた。デ杯ファイナルではルブレフ&ハチャノフ、ATPカップではメドベージェフ&ハチャノフで戦った。これで恩恵を受けることになったのがランキング23位で新シーズンを迎えたルブレフだ。開幕戦のドーハでは第2シード、そして第2戦のアデレードでは第3シードと、23位のランキングからしたら望外の好シード。有力メンバーがATPカップで戦っている週と、休養した翌週=鬼の居ぬ間に、ルブレフが2大会を制したのだ。
 
 ルブレフはジュニア時代から将来を嘱望された選手だった。2016年に鈴木貴男プロと筆者との会話の中で、ルブレフのことが出てきたことがあった。「今は粗いけど、そのうちあれが入ってくるんだろうね!」というのが、当時19歳だったルブレフに対する鈴木プロの見立て。その言葉通り、2017年にはNEXT GEN FINALで決勝に進出。爆発的なフォアハンドの強打を世界に印象付けただけでなく、年初156位だったランキングを39位までジャンプアップさせた。

 ランキングトップ100の平均身長が188センチという男子プロ。売り出し中のメドベージェフは197センチ、チチパスは193センチ、ズベレフは198センチ。185センチのフェデラーやナダルは平均身長以下というくらい大型化が進んでいる。

 今、男子プロに求められているのは圧倒的なフィジカルの強さだ。大きくて、強くて、そして速い。そうした要素を兼ね揃えた若手選手たちがランキングをぐんぐん上げている。その世界観の中で改めてルブレフのプレーを観察してみると強さの秘訣がわかる。身長はバランスの良い188センチ。動きがとにかく俊敏で股関節が驚くほど柔らかい。ルブレフほど広いスタンスでフォアを叩ける選手は多くない。

 明日の4回戦では第7シードのズベレフと激突する。あなたはこの試合でルブレフの強さを認識することになるだろう。

文●井山夏生(フリーライター)

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