大会に参戦しているテニス選手は、１週間勝ち続けてやっと優勝という頂点に立てます。そのため１つの勝利に一喜一憂していては、勝ち続けるのは難しくなります。では、勝った後、選手はどのような行動や対応をするといいのでしょうか。

　まず、自身にシードが付いた大会に出場する場合、大会に入る時の気持ちの面での調整も必要です。自分にシードが付いているということは、そのブロックの上のところまでは他のシード選手と当たりません。

　自分の調子や精神的な状態によっても変わりますが、そのレベルではある程度自分のポジションが確立されていると、プラスに考えることが必要です。自分が積み上げてきたことの証ですから、自信を持ってください。

　シードが付いたことをネガティブに捉え、プレッシャーを感じないようにすることです。このマインドセットがちゃんとできるようになりましょう。

　また、勝った試合後は、身体のケアが最優先で、あとはトレーニングを行なう場合もあります。今のトップ選手たちは、大会期間中もある程度負荷のかかったトレーニングを行なっているのを見かけます。テニスのシーズンは長いので、戦える身体を維持するために今の時代には必要なことでしょう。
  　次の試合については、どこかのタイミングでコーチと10分か15分ほど話をします。相手選手の傾向と、自分がどういうパターンでいくのかの確認です。

　ノーシードで出場して、シード選手に勝った場合、私にも経験がありますが「シード選手に勝てたのだから、次も勝てるだろう」と思ってしまいがちです。大会序盤で勝つと、次の相手はランキング的にはシード選手よりも下の選手になるからです。

　しかし、ランキングが低くなったから勝てると思うのは早計です。自分が同じテニスができるとは限りませんし、同じ精神状態でもありません。次の試合も勝ちたいのなら、自信は残しつつ、冷静さを保ち気持ちをリセットすることです。

　アメリカ人選手の場合、自信が自信を呼んで自信に満ち溢れたテンション高い状態のままで突っ走れたりするケースをよく目にしますが、日本人選手にそのタイプはあまりいません。難しいのですが、「できるぞ」という気持ちは残しつつ、落ち着きを取り戻すことです。そうできるように周りもサポートしてあげるといいでしょう。

文●伊達公子
撮影協力／株式会社SIXINCH.ジャパン

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