現在行なわれている男子テニスのマスターズ1000シリーズ「BNPパリバ・オープン」(3月5日~16日/アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート)のシングルスで、ベスト16進出を決めた元世界ランキング3位のステファノス・チチパス(ギリシャ/現9位/26歳)が3回戦勝利後の記者会見に出席。その中でコーチと良好な関係を築けていることが良い結果につながっていると明かした。
四大大会のシングルスで過去2度決勝に進出し、2019年には年間成績で上位8名だけが出場できるシーズン最終戦「ATPファイナルズ」を制すなど若くから活躍してきたチチパスだが、ここ最近は低迷気味だった。昨年2月には19年3月から約5年間維持してきたトップ10から陥落。今年に入ってからも1月の全豪オープンでもまさかの初戦敗退を喫すなど苦しい時期が続いていた。
そこでチチパスは2月に「近年のボールやサーフェスの球足の変化に対応する」目的でラケットを新調。これがすぐさま奏功し、先日の「ドバイ選手権」(ハード/ATP500)で12度目の挑戦にしてATP500シリーズ初優勝を飾るとともにツアー12勝目をゲット。同時に約1年越しのトップ10復帰も果たし、再起のきっかけをつかんだ。
勢いそのままに第8シードで出場している今回の「BNPパリバ・オープン」でも初戦の2回戦(シード勢は1回戦免除)でチアゴ・ザイボチビウチ(ブラジル/91位)にストレート勝ちすると、現地9日の3回戦でも元世界6位のマテオ・ベレッティーニ(イタリア/現29位)に6-3、6-3で快勝し16強入り。4回戦では過去0勝3敗と分の悪い21歳のホルガー・ルネ(デンマーク/同13位)と対戦する。
チチパスといえば、長らくプロ選手としての経験がない父親のアポストロス・チチパス氏から指導を受けていたが、昨年8月に両者はコーチ契約を解消。その直後にチチパスはデビスカップ(男子国別対抗戦)でギリシャチームのキャプテンを務めるディミトリス・チャツィニコロウ氏を自身のチームに招聘したという。
ベレッティーニ戦でマッチ7連勝を飾ったチチパスはチャツィニコロウ氏と「非常に誠実な関係を築けている」ことが好調の秘訣だと明かす。会見では以前の強さを取り戻しつつある現状を踏まえ、次のように手応えを口にした。
「ディミトリスとの間には何のフィルターもない。我々は自由に話し合い、素晴らしいコミュニケーションが取れている。彼と可能な限り最高の方法でコミュニケーションを取れれば、良いチームになるだろう。これまで何人かのコーチと出会ったが、彼ほどオープンで適応が早い人はいなかった。彼に対しては自分の気持ちや改善できる点、将来に向けて検討すべき点などについて正確に伝えることができる」
「お互いにフィードバックを与え合っていることが僕らの関係性を際立たせている。僕は自分が全てを知っているふりをしないようにしているし、ディミトリスも謙虚で、『自分も完璧ではない』と考えている。そういう姿勢が僕らに多くのものをもたらし、一緒に問題を解決できるようにしていると思う」
新たなコーチとラケットと共に確かなる一歩を踏み出したチチパス。今後のさらなる飛躍を期待したい。
文●中村光佑
四大大会のシングルスで過去2度決勝に進出し、2019年には年間成績で上位8名だけが出場できるシーズン最終戦「ATPファイナルズ」を制すなど若くから活躍してきたチチパスだが、ここ最近は低迷気味だった。昨年2月には19年3月から約5年間維持してきたトップ10から陥落。今年に入ってからも1月の全豪オープンでもまさかの初戦敗退を喫すなど苦しい時期が続いていた。
そこでチチパスは2月に「近年のボールやサーフェスの球足の変化に対応する」目的でラケットを新調。これがすぐさま奏功し、先日の「ドバイ選手権」(ハード/ATP500)で12度目の挑戦にしてATP500シリーズ初優勝を飾るとともにツアー12勝目をゲット。同時に約1年越しのトップ10復帰も果たし、再起のきっかけをつかんだ。
勢いそのままに第8シードで出場している今回の「BNPパリバ・オープン」でも初戦の2回戦(シード勢は1回戦免除)でチアゴ・ザイボチビウチ(ブラジル/91位)にストレート勝ちすると、現地9日の3回戦でも元世界6位のマテオ・ベレッティーニ(イタリア/現29位)に6-3、6-3で快勝し16強入り。4回戦では過去0勝3敗と分の悪い21歳のホルガー・ルネ(デンマーク/同13位)と対戦する。
チチパスといえば、長らくプロ選手としての経験がない父親のアポストロス・チチパス氏から指導を受けていたが、昨年8月に両者はコーチ契約を解消。その直後にチチパスはデビスカップ(男子国別対抗戦)でギリシャチームのキャプテンを務めるディミトリス・チャツィニコロウ氏を自身のチームに招聘したという。
ベレッティーニ戦でマッチ7連勝を飾ったチチパスはチャツィニコロウ氏と「非常に誠実な関係を築けている」ことが好調の秘訣だと明かす。会見では以前の強さを取り戻しつつある現状を踏まえ、次のように手応えを口にした。
「ディミトリスとの間には何のフィルターもない。我々は自由に話し合い、素晴らしいコミュニケーションが取れている。彼と可能な限り最高の方法でコミュニケーションを取れれば、良いチームになるだろう。これまで何人かのコーチと出会ったが、彼ほどオープンで適応が早い人はいなかった。彼に対しては自分の気持ちや改善できる点、将来に向けて検討すべき点などについて正確に伝えることができる」
「お互いにフィードバックを与え合っていることが僕らの関係性を際立たせている。僕は自分が全てを知っているふりをしないようにしているし、ディミトリスも謙虚で、『自分も完璧ではない』と考えている。そういう姿勢が僕らに多くのものをもたらし、一緒に問題を解決できるようにしていると思う」
新たなコーチとラケットと共に確かなる一歩を踏み出したチチパス。今後のさらなる飛躍を期待したい。
文●中村光佑
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