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海外テニス

“タイトすぎる”ツアー日程の是正に向けプロジェクトが進行!ATP理事会の代表は「選手の試合数を減らすことを目指している」と報告<SMASH>

中村光佑

2025.03.11

元世界32位で、現在はATP理事会の代表メンバーであるアンドゥハル氏が、過密スケジュールの改善に向け、プロジェクトの進行を報告した。(C)Getty Images

元世界32位で、現在はATP理事会の代表メンバーであるアンドゥハル氏が、過密スケジュールの改善に向け、プロジェクトの進行を報告した。(C)Getty Images

 2023年11月に現役を引退し、現在は男子テニスツアーを管轄するATP(男子プロテニス協会)の管理部門で働いている元世界ランキング32位のパブロ・アンドゥハル氏(スペイン/39歳)が母国メディア『Punto de Break』のインタビューに回答。水面下で過酷なツアースケジュールの是正に向けたプロジェクトを進めていると明かした。

 毎年数え切れないほど多くのトーナメントを設けているプロテニスツアー。最近は男女ともに四大大会に次ぐグレードのATP1000(男子)とWTA1000(女子)が、一部の大会を除き従来の1週間から2週間に開催期間が拡張されるなど、選手の負担が増大している印象がある。義務的に出場しなければならない大会が多々ある上位選手はなおさらだ。

 さらには、忙しいスケジュールの合間を縫ってエキジビションマッチでプレーする機会も増加。すなわち選手たちはずっと休みなしの状況を強いられているのだ。カルロス・アルカラス(スペイン/男子3位)やイガ・シフィオンテク(ポーランド/女子2位)をはじめ、若手のトッププレーヤーからも“タイトすぎる”ツアーカレンダーに対する非難の声が相次いでいる。

 23年にATP理事会の代表メンバーとなったアンドゥハル氏によれば、現在同協会では過密日程の是正に向けたプロジェクトが進んでいるという。今回のインタビューでは自身が組織のメンバーに加わった経緯を含め、その詳細を次のように語っている。
 
「私がATP評議会に参加した理由の一つは、ランキングの低い選手たちが生計を立てられるようにすることだった。最低賃金制度やSNSでの支援、若手選手へのワイルドカード(主催者推薦)付与や、ボーナスプール(特定の条件を満たした選手に対して分配される賞金やインセンティブ)といった仕組みを整えることで、より公平な支援を実現したかった。これらはとても重要なことで、選手たちがテニス界の一員としてより大切にされ、守られていると感じられるようになった」

「選手たちが価値を認められ、声を聞いてもらえる環境が必要だった。ここ4年間で、その取り組みは確実に進展している。賞金総額の増額や各種支援プログラムの拡充は実現したが、次のステップとしてはツアーカレンダーを変更し、選手の試合数を減らすことを目指している。これは選手たちにとって大きな問題だ。1年単位で簡単に変えられるものではないが、選手がもっと休息を取れるように改善を進めている」

 常に休む間もなくプレーしている選手たちにとっては“朗報”かもしれない。将来的には、選手の健康と安全に配慮した持続可能なツアースケジュールになっていくことを期待したい。

文●中村光佑

【画像】パブロ・アンドゥハルがファンと交流、ファンサービスもたっぷり!

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