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海外テニス

ボールマークのトラブルはなくなるか? 今シーズンからクレーコートでもビデオ検証システム導入へ

誉田優

2020.01.29

昨年の楽天オープンで使われたFOXTENN社の検証システム。CGと実映像を合わせて表示しており、信憑性が高いと好評を得ている。写真=金子拓弥(THE DIGEST写真部)

昨年の楽天オープンで使われたFOXTENN社の検証システム。CGと実映像を合わせて表示しており、信憑性が高いと好評を得ている。写真=金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 テニスのツアー大会で、いまやすっかり定着した「チャレンジシステム」。選手が審判の判定に不服だったときに、ビデオ(CG映像)による検証を要求できるシステムだが、これがクレーコートにも拡大されることになった。

 男子ツアーを統括するATP(男子プロテニス協会)は、2月にリオデジャネイロで行なわれるATP500のクレー大会「リオオープン」から、試験的にビデオ検証を行なうと発表。他にATPマスターズ1000、ATP250でも、具体的な大会は未定ながら試行する予定で、現在は春のクレーシーズンに向けて機器を準備している段階だという。

 CG映像によるビデオ判定が初めて取り入れられたのは、2006年のマイアミオープン(ハードコート)で、現在ではハードのみならずグラス(芝)コートの大会でも実施されている。一方、ボールの落下地点が目視で確認できるクレーコートだけは、これまで採用されていなかった。
 
 クレーでは、選手は主審に対してボールマーク(バウンドの跡)をチェックするよう要求することができ、主審はそのマークを示して判定を下す。しかし、主審が示したマークが本当にそのポイントのものなのか、もっと前に付いたものなのかは判断が難しく、選手側が違うマークを主張することも少なくない。

 あるいは、砂の飛び散り具合によってボール痕の境目が判然としないこともあり、選手と審判で判断が食い違うケースも目にする。そうしたトラブルを防止し、判定の確実性を高めるために、今シーズンからビデオ検証がクレーにも導入される運びとなった。現状のルールでは、選手がチャレンジを要求できる回数は、1セットにつき3回(成功した場合はカウントせず)だが、クレーでのテスト期間中は、回数制限を設けないという。

 ATPでは今シーズンの導入に先立ち、メーカーと連携してデジタル機器の精度向上に取り組んできた。2019年のATPチャレンジャーでは、大会前、予選、本戦を通して、繰り返しテストを重ねてきたという。今年2月のリオオープンでは、FOXTENN社の解析システムが使われる予定だ。

 なおATPのこの発表を受けて、WTA(女子テニス協会)もビデオ検証を女子ツアーのクレー大会に試験導入することを決めた。4月のチャールストンでのプレミア大会が最初となる。

文●誉田優
フリーライター。早稲田大学スポーツ科学部卒業。
Twitter:yu__honda/Instagram:yu__honda
 
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