今年2月、男子テニス世界ランキング1位で23歳のヤニック・シナー(イタリア)が昨年3月に発覚したドーピング違反により3カ月(2025年2月9日~5月4日/練習は4月13日から再開)の出場停止処分を科せられ、テニス界でも大きな話題となった。これを受けて世界1位復帰への大きな期待を寄せられてきたのが、同年代のライバルで四大大会4勝を誇る21歳のカルロス・アルカラス(スペイン/世界ランキング3位)だ。
ところがシナーが出場停止となってからアルカラスの成績はどこか振るわない。2月の「ABNアムロ選手権」(ATP500)こそ制したものの、直後に参戦した「カタール・オープン」(ATP500)はベスト8止まり。
その後も3月初めの「BNPパリバ・オープン」(ATP1000)で準決勝敗退、先日の「マイアミ・オープン」(ATP1000)では初戦(2回戦)敗退を喫し、これまで計3度優勝している早春の北米マスターズ2連戦でも、今年はタイトルを獲得できなかった。
マイアミ出場後にアルカラスは自身の現在のプレーレベルをこう嘆いていた。
「ここまでは自分のテニスの調子は良いと感じていたし、良いプレーもできていると思っていた。でも今回の敗戦で、シーズンの序盤の出来について正直どう言えばいいのかわからなくなった」
その背景としてシナーの出場停止後から世界1位復帰への期待が予想以上に大きくなり、「勝たなければならない」というプレッシャーが自身のパフォーマンスに問題を引き起こしたと率直に明かす。現在行なわれているマスターズ1000大会「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(4月6日~13日/モナコ・モンテカルロ)でクレーシーズン初戦を迎えるアルカラスは大会前の記者会見で次のようにコメントした。
「その件(世界1位復帰)については多くの人が話していた。シナーがいないから、ズベレフ(ドイツ/現2位)や僕が全てを勝ち取るべきだとか、前より良いプレーをすべきだとか、そんな声がたくさんあった。でも、それは正しくない。今のツアーは以前よりずっとバランスが取れていて、上位に進める選手がたくさんいるからね」
「まだ世界1位に復帰できていないことは、別に驚きでもなんでもない。だが周囲の多くの人たちは、僕が全ての大会で優勝することを期待している。『シナーがいない今こそチャンスだ』と言われることも多かった。おそらくそのプレッシャーが僕を“押しつぶした”のだと思う。シナーがいないとはいえ、(ランキングでは)まだ彼とは大きな差があるし、クレーシーズンで彼に追いつくのは難しい。とにかく自分のベストを尽くすことに集中するだけだ」
重圧を乗り越え、得意のクレーシーズンで立て直せるか。今こそアルカラスの真価が試される時だ。
文●中村光佑
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マイアミ出場後にアルカラスは自身の現在のプレーレベルをこう嘆いていた。
「ここまでは自分のテニスの調子は良いと感じていたし、良いプレーもできていると思っていた。でも今回の敗戦で、シーズンの序盤の出来について正直どう言えばいいのかわからなくなった」
その背景としてシナーの出場停止後から世界1位復帰への期待が予想以上に大きくなり、「勝たなければならない」というプレッシャーが自身のパフォーマンスに問題を引き起こしたと率直に明かす。現在行なわれているマスターズ1000大会「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(4月6日~13日/モナコ・モンテカルロ)でクレーシーズン初戦を迎えるアルカラスは大会前の記者会見で次のようにコメントした。
「その件(世界1位復帰)については多くの人が話していた。シナーがいないから、ズベレフ(ドイツ/現2位)や僕が全てを勝ち取るべきだとか、前より良いプレーをすべきだとか、そんな声がたくさんあった。でも、それは正しくない。今のツアーは以前よりずっとバランスが取れていて、上位に進める選手がたくさんいるからね」
「まだ世界1位に復帰できていないことは、別に驚きでもなんでもない。だが周囲の多くの人たちは、僕が全ての大会で優勝することを期待している。『シナーがいない今こそチャンスだ』と言われることも多かった。おそらくそのプレッシャーが僕を“押しつぶした”のだと思う。シナーがいないとはいえ、(ランキングでは)まだ彼とは大きな差があるし、クレーシーズンで彼に追いつくのは難しい。とにかく自分のベストを尽くすことに集中するだけだ」
重圧を乗り越え、得意のクレーシーズンで立て直せるか。今こそアルカラスの真価が試される時だ。
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