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海外テニス

まもなく出場停止が解けるシナーにデ杯イタリア監督がエール「この期間のトレーニングが長期的な効果をもたらす」<SMASH>

中村光佑

2025.04.17

イタリアのデ杯監督ボランドリ(右)がシナー(左)の復帰後を展望。最初は苦戦しても、離脱中に積んだトレーニングが長期的なエネルギーになると語った。(C)Getty Images

イタリアのデ杯監督ボランドリ(右)がシナー(左)の復帰後を展望。最初は苦戦しても、離脱中に積んだトレーニングが長期的なエネルギーになると語った。(C)Getty Images

 男子テニス国別対抗戦「デビスカップ」でイタリア代表監督を務める元世界ランク25位のフィリッポ・ボランドリ氏(43歳)が、母国メディア『ラ・ガゼッタ』のインタビューに回答。その中で来月初めにドーピング違反による約3カ月の出場停止処分(2025年2月9日~5月4日/練習は4月13日から再開)が明ける同郷の若き王者ヤニック・シナー(イタリア/23歳)について、近況をまじえ期待の言葉を送った。

 四大大会3勝目を手にした今年1月の全豪オープンを含め、出場停止前に戦った直近6大会のうち5大会で優勝を飾るなど凄まじい活躍を見せていたシナー。

 しかし、実戦復帰を迎えるクレーシーズンで彼が以前のように圧倒的な強さを発揮できるかは未知数である。というのもこれまでに獲得した19個のタイトルのうち、クレーでの優勝は22年「クロアチア・オープン」(ATP250)の1度だけ。復帰戦となる母国開催のマスターズ1000大会「イタリア国際」(5月7日~18日/イタリア・ローマ)も過去5度の出場で最高成績はベスト8と苦戦を強いられているのだ。

 戦術的な視点から「クレーでは相手をコートの外に追いやるためのワイドサービスやスピンの効いたショットが重要になる。サービスの威力自体はそれほど影響しないが、スピンをかけるなどの工夫が必要だ」とボランドリ氏。そもそもシナーがブランク明けから「すぐに全ての試合で勝てるとは思っていない」と率直に言う。
 
 その上で同氏は四大大会「全仏オープン」(5月25日~6月8日/フランス・パリ)に向け、シナー陣営の“チーム力”に期待したいとコメント。さらには出場停止中に懸命に取り組んだフィジカルトレーニングが、シナーの今後を大きく左右するのではないかと続けた。

「シナーはトップレベルのチームに支えられていて、復帰に向けて技術的に重要なポイントを明確にしているはずだ。全仏は非常に消耗の激しい大会で、5セットマッチが続くが、彼がこの期間に行なったフィジカルトレーニングは長期的に大きな効果をもたらすと思う。彼はここ数年、冬季のプレシーズンでしっかりとした準備ができていなかったから、今回のブランクが、今後2~3年の好調を支えるエネルギーとなるだろう」

 また「先日シナーのコーチと夕食を共にした」というボランドリ氏は、その時に聞いた話を踏まえ、改めて23歳の王者へエールを送った。

「コーチは『ヤニックは非常にモチベーションが高く、今後の大会に完全に集中していて、精神的にも非常に落ち着いている』と言っていた。スポーツ選手にとって、試合のアドレナリンは他では得られないものだ。練習では実戦の感覚を再現することはできないから、すぐに好成績を求めるのは現実的ではない。それでも試合数を重ねるごとに、全仏に向けて理想の状態に近づいていくだろう」

 現時点でシナーはイタリア国際に加え、その直後に開かれるATP500シリーズ「ハンブルク・オープン」(5月18日~24日/ドイツ・ハンブルク)にも出場予定。復帰後にシナーがどんなプレーを見せるのか注目が集まる。

文●中村光佑

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