女子テニス元世界ランク23位のレシア・ツレンコ(ウクライナ/現239位)が4月17日に自身のSNSを更新し、女子ツアーを管轄するWTA(女子テニス協会)の元会長であるスティーブ・サイモン氏から道徳的虐待(自分勝手な言動によって相手を傷つける行為)を受けたとして法的措置を講じる意向を表明した。
2022年2月に始まったロシア・ベラルーシによるウクライナ侵攻が激化していた中で、テニス界が侵攻国出身選手に対する積極的な除外措置を講じなかったことに対して不快感をあらわにしていた35歳のツレンコは、母国ウクライナが悲惨な状況に陥っていることを受け、23年春に当時のWTA会長だったサイモン氏と会談。しかしその時に同氏から告げられた言葉にショックを受けてパニック発作を起こし、同年の「BNPパリバ・オープン」(米インディアンウェルズ/WTA1000)の出場辞退を余儀なくされていた。
「サイモン氏自身は戦争を支持しないとのことだったが、『ロシアやベラルーシの選手が紛争を支持しているのであれば、それはあくまで彼ら自身の意見であり、あなたが他人の意見に動揺してはいけない』と言われた。インディアンウェルズで私はパニック発作に襲われ、大会を棄権せざるを得なかった。私はその後、個人的に公の場で苦情を申し立てたが、WTA側は私にコンタクトを取ろうとはしなかった」
これまでにツアー4勝を挙げ、18年の全米オープンで四大大会初のベスト8入りを果たすなど安定した活躍を見せていたツレンコだが、昨年は早期敗退が相次ぎ、今季はまだツアー大会には1度も出場していない。
これについて、今回の投稿で彼女はサイモン氏との一件が尾を引いているとし、テニス選手としての職務を全うできなくなったと告白。WTAに対する批判の言葉も綴った。
「自分の居場所だと思っていたプロツアーが恐ろしく異質な場所になりました。WTAのCEOが私に対して意図的に道徳的虐待行為を働き、パニック発作を起こして職務を遂行できなくなるとは想像もしていませんでした。私はWTAに対して保護と正義を求めるべく、このことを率直に、かつ直接的に話しました」
「しかし、それに対しての反応は無関心で正義感も感じられず、私は長期にわたる精神的な衰退を経験しました。痛み、恐怖、パニック発作、屈辱的な気持ち、情報隠蔽、チームへの嫌がらせ。これらは私が耐えなければならなかったことのほんの一部に過ぎません。WTAツアーは女性、選手、そして人を守ることを拒否し、代わりにリーダー的立場にある人物を保護することを選んだのです」
その上でツレンコは「法廷で正義を求めることが、自分自身と自分の権利、尊厳を守り、スポーツ界におけるこのような暴力行為を防ぐ最後のチャンスだと思います」とし、間もなく法的措置を講じる意志を表明。「昨年末からそのプロセスを進めています。私が今経験していることを、誰も経験しないように、そして全ての人が自分の行動に対して責任を取りますようにと、神に祈ります」と全文を締めくくった。
海外メディア『UBITENNIS』によると、WTAは広報担当者を通じて上記の訴えを起こしたツレンコに強く反論。「ツレンコ選手をはじめとするウクライナ選手たちが直面した重大な困難に深く同情する一方で、ツレンコ選手が自身の苦痛に関してWTAの責任を問うために訴訟を起こす意向を示したことは遺憾です。WTAとその運営陣は常に適切かつ規則に従って行動しており、訴訟でも勝訴できると確信しています」とコメントしたという。
文●中村光佑
【動画】ツレンコがツアー3勝目を飾った2017年アカプルコ大会決勝ハイライト
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2022年2月に始まったロシア・ベラルーシによるウクライナ侵攻が激化していた中で、テニス界が侵攻国出身選手に対する積極的な除外措置を講じなかったことに対して不快感をあらわにしていた35歳のツレンコは、母国ウクライナが悲惨な状況に陥っていることを受け、23年春に当時のWTA会長だったサイモン氏と会談。しかしその時に同氏から告げられた言葉にショックを受けてパニック発作を起こし、同年の「BNPパリバ・オープン」(米インディアンウェルズ/WTA1000)の出場辞退を余儀なくされていた。
「サイモン氏自身は戦争を支持しないとのことだったが、『ロシアやベラルーシの選手が紛争を支持しているのであれば、それはあくまで彼ら自身の意見であり、あなたが他人の意見に動揺してはいけない』と言われた。インディアンウェルズで私はパニック発作に襲われ、大会を棄権せざるを得なかった。私はその後、個人的に公の場で苦情を申し立てたが、WTA側は私にコンタクトを取ろうとはしなかった」
これまでにツアー4勝を挙げ、18年の全米オープンで四大大会初のベスト8入りを果たすなど安定した活躍を見せていたツレンコだが、昨年は早期敗退が相次ぎ、今季はまだツアー大会には1度も出場していない。
これについて、今回の投稿で彼女はサイモン氏との一件が尾を引いているとし、テニス選手としての職務を全うできなくなったと告白。WTAに対する批判の言葉も綴った。
「自分の居場所だと思っていたプロツアーが恐ろしく異質な場所になりました。WTAのCEOが私に対して意図的に道徳的虐待行為を働き、パニック発作を起こして職務を遂行できなくなるとは想像もしていませんでした。私はWTAに対して保護と正義を求めるべく、このことを率直に、かつ直接的に話しました」
「しかし、それに対しての反応は無関心で正義感も感じられず、私は長期にわたる精神的な衰退を経験しました。痛み、恐怖、パニック発作、屈辱的な気持ち、情報隠蔽、チームへの嫌がらせ。これらは私が耐えなければならなかったことのほんの一部に過ぎません。WTAツアーは女性、選手、そして人を守ることを拒否し、代わりにリーダー的立場にある人物を保護することを選んだのです」
その上でツレンコは「法廷で正義を求めることが、自分自身と自分の権利、尊厳を守り、スポーツ界におけるこのような暴力行為を防ぐ最後のチャンスだと思います」とし、間もなく法的措置を講じる意志を表明。「昨年末からそのプロセスを進めています。私が今経験していることを、誰も経験しないように、そして全ての人が自分の行動に対して責任を取りますようにと、神に祈ります」と全文を締めくくった。
海外メディア『UBITENNIS』によると、WTAは広報担当者を通じて上記の訴えを起こしたツレンコに強く反論。「ツレンコ選手をはじめとするウクライナ選手たちが直面した重大な困難に深く同情する一方で、ツレンコ選手が自身の苦痛に関してWTAの責任を問うために訴訟を起こす意向を示したことは遺憾です。WTAとその運営陣は常に適切かつ規則に従って行動しており、訴訟でも勝訴できると確信しています」とコメントしたという。
文●中村光佑
【動画】ツレンコがツアー3勝目を飾った2017年アカプルコ大会決勝ハイライト
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