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海外テニス

期待の重圧に苦しむ21歳の逸材アルカラス!「人々は勝つことが当たり前だと錯覚するようになってしまった」<SMASH>

中村光佑

2025.04.20

若くしてすでに四大大会で4度の優勝を誇るアルカラスは、多くの人々が勝って当然と思い込んでいることに大きなストレスを感じているようだ。(C)Getty Images

若くしてすでに四大大会で4度の優勝を誇るアルカラスは、多くの人々が勝って当然と思い込んでいることに大きなストレスを感じているようだ。(C)Getty Images

 強力なストロークや巧みなドロップショットを武器にファンを魅了し、まだ21歳にしてすでに四大大会のシングルスで4度の優勝を誇る世界ランキング2位のカルロス・アルカラス(スペイン)。今季は年明けからやや物足りない結果が続いていたが、得意のクレーコートシーズンに入ってからようやく本来のプレーを取り戻し始めている。

 先週のマスターズ1000大会「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(4月6日~13日/モナコ・モンテカルロ)は見事優勝。現在母国で行なわれているATP500シリーズ「バルセロナ・オープン」(4月14日~20日/スペイン・バルセロナ)も順調に勝ち上がっており、現地19日に実施された準決勝でも第7シードのアルトゥール・フィス(フランス/同14位)に6-2、6-4で快勝。2週連続優勝を懸け、現地20日に予定されている決勝では同じ21歳のホルガー・ルネ(デンマーク/13位)と対戦する。

 早春の北米ハードシリーズまで苦戦が続いていたアルカラスは、今年に入ってから自身に向けられる期待と重圧について言及する機会が多くなっている。モンテカルロの会見で同年代の世界王者ヤニック・シナー(イタリア)がドーピング違反による約3カ月間の出場停止処分を科されてから、自身の世界1位復帰を期待する声が予想以上に大きくなり、それが「大きなプレッシャーになっていた」と告白していたのは既報の通りである。
 
 それに加えてアルカラスは、全仏オープン最多の14勝を含む四大大会22勝を挙げるなど凄まじい功績を残した同郷の伝説的巨星ラファエル・ナダル(元1位/昨秋引退)が築いた偉大なるキャリアを、自分にも期待している雰囲気をひしひしと感じると率直に明かす。フィスとの試合を終えた後の会見では次のように語った。

「スペインにはたくさんの優秀なアスリートがいて、人々は僕たちが“勝つことが当たり前”だと錯覚するようになってしまった。勝たないと全てが失敗のように扱われるし、良いことは必要以上に持ち上げられ、悪いことには過剰なバッシングが起こる。僕はこれまでずっと多くのポジティブな応援を受けてきたし、それには本当に感謝しているけど、ネガティブな言葉はポジティブな言葉の10倍の重みがある。ラファ(ナダル)や、他の偉大な選手によって、“勝つことが当然”みたいな風潮が出てきてしまった。本来はそうあるべきではない」

 そんな21歳は「恋しかった」クレーシーズンで自信を取り戻した様子。バルセロナやマドリード(4月23日~5月4日/ATP1000)をはじめ、母国ファンの前でプレーできる機会が多いこともメンタル面に良い影響を与えていると締めくくった。「クレーシーズンは自信を取り戻すのにすごく助けになるし、家族や友人の前でプレーできるのもうれしい。純粋に楽しみながら学び、もっとプレーを良くして、ハッピーな気持ちでコートに入ること。それだけを考えている」

 常に重くのしかかる“期待と重圧”。トップ選手としての宿命を背負いながらも、自分ならではのストーリーを描こうとしているアルカラスの今後が楽しみでならない。

文●中村光佑

【動画】アルカラスが復調の兆しを見せた「モンテカルロ・マスターズ」決勝ハイライト

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