多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す「セルフジャッジ」でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単だ」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。

　そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこでテニス四大大会の出場経験を持つ元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。

　今回は「ジャッジの食い違い」についてです。ダブルスの試合で、自分とパートナーのジャッジが食い違ってしまいました。こんな時はどうすればいいのでしょうか。

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　ペアの間で食い違った判定をした場合は、判定を誤ったペアの失点になります。

　ただし、例えば自分が「アウト」と言ってパートナーが「イン」と判定した時、すぐに自分が「ごめんなさい、インでした」と訂正した場合は、１回目に限り〝故意でない妨害〞としてポイントのやり直しが認められます。これは「あ、間違えた！」という時の救済措置で「次から気を付けて」という考えに基づいています。
  　こうしたルールを知らない方もいるようですが、最初（１回目）の訂正に限っては「レット（やり直し）」となります。とはいえ、それが権利とばかりに「１回目なら大丈夫」と大事なポイントで行使するような悪用はしてほしくないですね。

　日本テニス協会からは「テニス競技でのセルフジャッジ５原則の順守と推進のお願い」というリーフレットが出されています。そこには「ボールとラインの間に隙間が見えたらアウト。見えなかったらインと判定する」と明記されています。

　この基本をよく理解した上で、正しいセルフジャッジをしてください。

解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム（四大大会）では、全豪オープン３回戦進出をはじめ、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF公認審判員、JTA公認審判員も務める。日本テニス協会理事。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2020年５号より抜粋・再編集

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