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海外テニス

ドーピングによる出場停止処分が明けた王者シナーが心境を明かす「またテニスができることがうれしい」<SMASH>

中村光佑

2025.05.06

紆余曲折の末に3カ月の出場停止処分を受け入れたシナーが、復帰戦となる母国開催の「イタリア国際」記者会見で現在の心境を明かした。(C)Getty Images

紆余曲折の末に3カ月の出場停止処分を受け入れたシナーが、復帰戦となる母国開催の「イタリア国際」記者会見で現在の心境を明かした。(C)Getty Images

 現地5月4日にドーピング違反による約3カ月の出場停止処分が明けた男子テニス世界ランキング1位のヤニック・シナー(イタリア)が、間もなく実戦復帰を迎えるツアー大会「イタリア国際」(5月7日~18日/イタリア・ローマ/クレーコート/ATP1000)の記者会見で現在の心境を語った。

 既報の通り23歳のシナーは昨年3月のドーピング検査で、禁止薬物「クロステボル」(筋肉増強作用のある合成ステロイド)が2度にわたり検出。シナー側は禁止薬物が体内に入ってしまった理由について、サポートメンバーの1人が自身の傷を治療するためにクロステボル入りのスプレーを肌に塗り、その手でシナーにマッサージ等を施したためだと説明していた。

 不正監視機関の国際テニス・インテグリティ・エージェンシー(ITIA)はシナーに過失や怠慢がなかったことを認め、いったんは決着。しかし同10月、これを不服とした世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が、スポーツ仲裁裁判所に上訴し、当初はシナーへ最長2年の出場停止処分を求めていた。

 この最終審理は今年4月に行なわれる予定だったが、一足早く2月15日にWADAとシナー側との合意が成立し、冒頭の通りシナーには3カ月の出場停止処分が科された。復帰戦が母国開催の大規模トーナメントになることや、現状では次の四大大会「全仏オープン」(5月25日~6月8日/フランス・パリ)にも問題なく出場できることから、各方面で「特別扱いを受けたのではないか」との声が上がったが、シナー本人やWADAはこの疑惑を一貫して否定している。

 現地5日に開かれた会見でシナーは「個人的には出場停止処分に四大大会が含まれていなかったのは良いニュース」と前置きしつつ、処分が明けるまでの苦悩の日々をこう振り返った。
 
「最初は、出場停止の合意はしたくなかった。実際に僕の身に何が起こったかを知っているから、処分を受け入れるのは簡単ではなかった。だが時には、最悪の状況で最善の選択をしなくてはならない。我々はまさにそういう感じだった。今はもうすべてが終わったから、またテニスができることがうれしい」

 四大大会3勝目を手にした今年1月の全豪オープンを含め、出場停止前に戦った直近6大会のうち5大会で優勝を飾るなど凄まじい活躍を見せていたシナーだが、ブランク明けとなる今回のローマはさすがに「期待値は低い」と現状を冷静に見つめる。あくまでも「自分の現在のレベルがどの程度なのか」を知るための大会になるとし、改めてようやく公式戦のコートに戻れることへの喜びを明かした。

「今の順位には満足しているが、世界3位や4位にいても満足できるだろう。ここに戻って来られて本当にうれしいし、またファンの前でプレーできるのも幸せだ。目の前に目標があることで、それに向かって突き進んでいける」

 なお今回のローマはシード勢が1回戦免除。第1シードとして参戦するシナーは初戦の2回戦で、ワイルドカード(主催者推薦)のフェデリコ・チナ(イタリア/同323位)とマリアノ・ナボーネ(アルゼンチン/同99位)のどちらかと対戦する予定だ。

文●中村光佑

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