四大大会のシングルスで18度もの優勝を誇る女子テニス界のレジェンド、クリス・エバート氏(アメリカ/元世界ランキング1位/70歳)が海外テニス専門サイト『Tennis 365』のインタビューに登場。現在開催中の四大大会「全仏オープン」で早期敗退に終わったエマ・ラドゥカヌ(イギリス/元10位/現42位)と大坂なおみ(元1位/現49位)に言及し、「2人を気の毒に思う」と語った。
22歳のラドゥカヌがこれまでに獲得したツアータイトルはわずか1。予選から全てストレート勝利を収めて四大大会初優勝を飾った2021年の全米オープンが最後である。それ以降はインパクトを残せておらず、昨シーズンこそ5度のツアーベスト8以上を記録(うち1度は4強)したものの、今季は準々決勝に進出した3月の「マイアミ・オープン」(WTA1000)以外は早期敗退が目立つ。
今回の全仏オープンにノーシードで参戦したラドゥカヌは1回戦でワン・シンユー(中国/43位)に勝利したが、2回戦では大会3連覇中の元女王イガ・シフィオンテク(ポーランド/現5位)に1-6、2-6と成す術なく完敗。これを受けてエバート氏は、ラドゥカヌがトップフォームに戻ってくるのは自分自身が想像しているよりもはるかに時間がかかるのではないかと予想する。
また同氏は1回戦でパウラ・バドサ(スペイン/元2位/現10位)に屈して初戦敗退を喫した大坂もラドゥカヌと同じような道をたどっているように感じていると指摘し、両者の現状を「気の毒に思う」とコメント。主にラドゥカヌに焦点を当てつつ、こう続けた。
「ラドゥカヌは、あの大きな勝利(全米優勝)によって、キャリアの何年分も失ってしまったように思う。それは(四大大会を4度制した)なおみも同じ。多くの経験を経て、突然大きな勝利を手にすると、全てが変わってしまう」
「エマは美しい女性だけど、多分それが助けにならなかった。スポンサー契約が次々と舞い込んできて、コーチは何度も替わっているのに、彼女に対する期待はずっと高いまま。でも彼女はまだそのレベルに達していない。いったんリセットして、地道に積み上げていかなければならない。少しプライドを捨てる必要もあるかも。まだそこまでの選手じゃないから」
21年の全米で栄冠を手に入れたラドゥカヌなら、「しっかりコミットすれば、トップ10に戻れると思う」とエバート氏。しかし同時にこうも語る。
「あの全米は、上位選手の多くが敗退していたことは忘れないでほしい。決勝で戦ったレイラ・フェルナンデス(カナダ/元13位/現23位)は力尽きていた。レイラはトップ5選手を3人も倒していた一方、エマはトップ10選手にさえ当たらなかった」
「もしレイラが優勝していたら、彼女の人生は大きく変わっていたかもしれない。だけど勝ったのはエマで、彼女はあの経験を背負って生きなければならなくなった。あのような快進撃は二度と見られないだろうし、あれ以降はずっと苦しんでいる」
ラドゥカヌも大坂も苦しんでいるのは間違いないが、再びトップに駆け上がる実力は持っているはずだ。今はその時を静かに待ちたい。
文●中村光佑
【画像】大坂なおみをはじめ、2025全仏オープンを戦う女子トップ選手たちの厳選フォト
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22歳のラドゥカヌがこれまでに獲得したツアータイトルはわずか1。予選から全てストレート勝利を収めて四大大会初優勝を飾った2021年の全米オープンが最後である。それ以降はインパクトを残せておらず、昨シーズンこそ5度のツアーベスト8以上を記録(うち1度は4強)したものの、今季は準々決勝に進出した3月の「マイアミ・オープン」(WTA1000)以外は早期敗退が目立つ。
今回の全仏オープンにノーシードで参戦したラドゥカヌは1回戦でワン・シンユー(中国/43位)に勝利したが、2回戦では大会3連覇中の元女王イガ・シフィオンテク(ポーランド/現5位)に1-6、2-6と成す術なく完敗。これを受けてエバート氏は、ラドゥカヌがトップフォームに戻ってくるのは自分自身が想像しているよりもはるかに時間がかかるのではないかと予想する。
また同氏は1回戦でパウラ・バドサ(スペイン/元2位/現10位)に屈して初戦敗退を喫した大坂もラドゥカヌと同じような道をたどっているように感じていると指摘し、両者の現状を「気の毒に思う」とコメント。主にラドゥカヌに焦点を当てつつ、こう続けた。
「ラドゥカヌは、あの大きな勝利(全米優勝)によって、キャリアの何年分も失ってしまったように思う。それは(四大大会を4度制した)なおみも同じ。多くの経験を経て、突然大きな勝利を手にすると、全てが変わってしまう」
「エマは美しい女性だけど、多分それが助けにならなかった。スポンサー契約が次々と舞い込んできて、コーチは何度も替わっているのに、彼女に対する期待はずっと高いまま。でも彼女はまだそのレベルに達していない。いったんリセットして、地道に積み上げていかなければならない。少しプライドを捨てる必要もあるかも。まだそこまでの選手じゃないから」
21年の全米で栄冠を手に入れたラドゥカヌなら、「しっかりコミットすれば、トップ10に戻れると思う」とエバート氏。しかし同時にこうも語る。
「あの全米は、上位選手の多くが敗退していたことは忘れないでほしい。決勝で戦ったレイラ・フェルナンデス(カナダ/元13位/現23位)は力尽きていた。レイラはトップ5選手を3人も倒していた一方、エマはトップ10選手にさえ当たらなかった」
「もしレイラが優勝していたら、彼女の人生は大きく変わっていたかもしれない。だけど勝ったのはエマで、彼女はあの経験を背負って生きなければならなくなった。あのような快進撃は二度と見られないだろうし、あれ以降はずっと苦しんでいる」
ラドゥカヌも大坂も苦しんでいるのは間違いないが、再びトップに駆け上がる実力は持っているはずだ。今はその時を静かに待ちたい。
文●中村光佑
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