いよいよ大詰めを迎えているテニス四大大会「全仏オープン」は現地時間６月５日に女子シングルス準決勝が行なわれ、ディフェンディングチャンピオンのイガ・シフィオンテク（ポーランド／世界ランキング５位）がセンターコート第２試合に登場。第１シードのアリーナ・サバレンカ（ベラルーシ／同１位）と対戦したが、6-7 (1)、 6-4、0-6で敗れ、1968年のオープン化以降で女子選手史上初となる大会４連覇はならなかった。

　ついに“ローランギャロスの絶対女王”の歩みが止まった。シフィオンテクにとって全仏オープンでの敗戦は、2021年６月９日のマリア・サッカリ（ギリシャ／元３位／現90位）との準々決勝以来、実に1457日ぶり。22年から続いていた連勝記録も26でストップした。

　だがその予兆は確実にあった。今季のシフィオンテクは得意なはずのクレーシーズンでも思うような結果を残せず、大会連覇が懸かっていた最後の全仏前哨戦「イタリア国際」（WTA1000）も３回戦敗退。世界ランキングでも２位から５位に後退し、22年２月以来、約３年３カ月ぶりにトップ４から陥落していた。

　昨年の全仏以来ツアータイトルどころか決勝進出もないシフィオンテクだが、満を持して迎えた今大会で立て直してきた。初戦から順調に勝ち進み、４回戦では元世界３位のエレーナ・ルバキナ（カザフスタン／現11位）に意地の逆転勝ち。続く準々決勝では同じく元３位のエリーナ・スビトリーナ（ウクライナ／現14位）に6-1、7-5で勝利し、前人未到の全仏４連覇まであと２勝と迫っていた。
  　準決勝では良きライバルとして共に競い合ってきた世界１位のサバレンカと対戦。立ち上がりから相手の強力なリターンとストロークに手を焼いて４度ものサービスダウンを喫すも、シフィオンテクも粘りを見せ、４度のブレークを奪い返してタイブレークへ。しかしここではシフィオンテクにエラーが重なり、接戦の末に第１セットを落とした。

　続く第２セットはシフィオンテクが第１ゲームでいきなりサバレンカのサービスをブレーク。直後の第２ゲームでブレークバックを許すも、第３ゲームで再びリードを奪い、以降のサービスゲームを全てキープしてセットオールに持ち込む。

　しかしファイナルセットは集中力が切れたのか、シフィオンテクがミスを連発。結局１ゲームも奪えず、２時間19分で力尽きた。

　タイトル防衛を逃し、大会後に更新される世界ランキングで７位付近まで順位を落とすことが確定したシフィオンテクだが、意外にも落胆の色は薄く、気持ちも前向きだ。試合後の会見では次のようにコメントした。

「ここ（全仏オープン）でプレーするのが大好きだし、ここまで多くの素晴らしい大会に出場できたことを本当にうれしく思う。今大会も、数週間前よりは良いプレーができたと感じている。毎年、自分を奮い立たせることができるこの場所に戻ってこられることが、ただただ幸せ。ランキングは落ちるだろうけど、計算してみると、大したことではないとわかっているわ」

　ここからシフィオンテクがどう再起してくるか。引き続き彼女のパフォーマンスに注目していきたい。

文●中村光佑

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