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海外テニス

自閉症のテニス選手ブルックスビーが明かす自身の強みは「非常に高いレベルで細かいものに集中できること」<SMASH>

中村光佑

2025.06.15

今年4月開催の「全米男子クレーコート選手権」でツアー初優勝を飾ったブルックスビーが自身の自閉スペクトラム症について語った。(C)Getty Images

今年4月開催の「全米男子クレーコート選手権」でツアー初優勝を飾ったブルックスビーが自身の自閉スペクトラム症について語った。(C)Getty Images

 幼少期に診断された自閉スペクトラム症を抱えながら、ツアーで活躍を続けている男子テニス元世界ランキング33位のジェンソン・ブルックスビー(アメリカ/現151位)。テニス界において、自閉スペクトラム症を抱えるプロ選手は極めて稀な存在と言える。そんな彼が、どのようにして自身の特性と向き合っているのかについて、海外テニス専門チャンネル『Tennis Channel』のインタビューで語っている。

 自閉スペクトラム症とは、脳機能の偏りにより、特定の物事やルールに対して強いこだわりを示したり、対人関係やコミュニケーションにおいて独自の反応を示したりすることがある発達障害の一種。ブルックスビーにとっても、それは「時に挑戦となる」一方で、「大きな強みになる」こともあるという。

「スポーツでも、テニスでも、そして人生全般においても、自閉症の人はルーティンをうまく取り入れるのが得意だと思う。一度『これだ』と感じられるものが見つかれば、それが最高の感覚として生成される。その特性と、目標に向かって(集中して)努力することができる特性は非常に強力な組み合わせになる。そんな感じでとても調子がいいと感じるんだ」

 今年4月の「フェイズ・サロフィム・全米男子クレーコート選手権」(アメリカ・ヒューストン/クレーコート/ATP250)で待望のツアー初優勝を飾った24歳のブルックスビーは、自閉症ならではの長所についてさらにこう続ける。
 
「最大の強みは、非常に高いレベルで細かいものに集中できることだ。これは、プレッシャーが高まる場面でとても重要な要素になる。たとえ大事な試合であっても、いくつかの基本的なことに集中できて、長時間にわたって安定したプレーができるのは、波が激しい人との差別化になる。自閉症のせいで、時には物事に執着しすぎてしまうこともあるが、僕自身は自閉症をマイナスではなく、強みの一つとして見ている」

 ブルックスビーと言えば、12カ月以内に3度にわたりドーピング検査を欠席したことで、2023年10月から2025年1月4日までの18カ月間にわたる出場停止処分を受けた経験を持つ(その後、処分は13カ月に軽減され、2024年3月3日に終了)。その処分が明けてからおよそ1年、地道な積み重ねの末に母国大会でつかみ取った初タイトルは、苦い経験を乗り越え、自身の強みを磨き直してきた努力の結実と言えるだろう。

 唯一無二の特徴を持つブルックスビーが、これからツアーでどのような進化を遂げていくのか。自身の特性と向き合いながら歩むそのキャリアには、今後も大きな注目が集まりそうだ。

文●中村光佑

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