海外テニス

新コーチのイバニセビッチがチチパスに期待!ポテンシャルを称賛し「今は“切れ味”を取り戻す段階にいる」と明かす<SMASH>

中村光佑

2025.06.17

ランキングを大きく落としているチチパス(左)だが、新たにタッグを組んだイバニセビッチ氏(右)は「トップに戻れないなんて心配はしていない」と語る。(C)Getty Images

 苦戦が続いている男子テニス元世界ランキング3位のステファノス・チチパス(ギリシャ/現25位)のコーチに就任した名将ゴラン・イバニセビッチ氏(クロアチア/53歳)が、ATP(男子プロテニス協会)公式サイトのインタビューに回答。その中でチチパスのポテンシャルの高さを称賛するとともに、新タッグへの期待感を語った。

 26歳のチチパスは4月の「モンテカルロ・マスターズ」(ATP1000)と「バルセロナ・オープン」(ATP500)で共に準々決勝敗退に終わり、続く「マドリード・オープン」(ATP1000)と「イタリア国際」(ATP1000)はいずれも3回戦敗退。先日の四大大会「全仏オープン」も2回戦で敗れ、大会後に更新された世界ランキングで2018年8月以来、約6年10カ月ぶりにトップ20から陥落した。

 低空飛行が続いている中、全仏オープン期間中にチチパスは、01年のウインブルドンで四大大会初優勝を飾った元世界2位のイバニセビッチ氏をコーチとしてチームに招聘。同氏は順位を落としているチチパスのポテンシャルについて、こう語っている。

「彼はいつだってトップ10にいられる選手だ。今はちょっとその"切れ味"を失ってしまっているけど、色々なことがあったから仕方ない。今はそれを取り戻す段階にいる」

「僕は魔法使いじゃないから、1週間で結果を出すことはできないが、彼は素晴らしい選手だ。四大大会決勝を2回も経験しているし、素晴らしい勝利もたくさんある。だから、またトップに戻って来られないなんて心配は全くしていない」
 
 続けてチチパスとコーチ契約を結んだ経緯をこう明かした。「彼の"気質"が非常に面白いと思った。元々ギリシャ人とクロアチア人は、気質が結構似ている。彼はとても攻撃的なプレーヤーで、それが僕の好みに合っている。ずっと彼のプレースタイルが好きだったし、そこに僕の視点を加えられるのは面白い。特にサービスやサーブ&ボレーの部分だ。僕にとっても大きなチャレンジになるし、うまくいくことを願っている」

 ウインブルドンを制したイバニセビッチ氏を迎え入れたからには、チチパスの芝シーズンにおける成績改善を期待したいところである。というのもチチパスは22年の「マヨルカ選手権」(ATP250)でのタイトルこそあるものの、芝シーズンは通算22勝17敗と平凡で、現時点では苦手サーフェスと言わざるを得ない。

 それでもイバニセビッチ氏は、強力なサービスと攻撃的なテニス武器とするチチパスなら、芝でも成功できると信じている。

「素材はたくさんある。これまで芝で結果を残せていないのは、正直"メンタル"の問題だと思う。『芝ではうまくやれない』って思い込んでしまうと、本当にうまくいかない。芝はごまかしが効かないからね。まだまだ改善の余地はある。今週すぐに結果が出るとは言わないけど、彼なら芝でもきっとやれる」

 なお今週チチパスは芝シーズン初戦として「テラ・ウォルトマン・オープン」(6月16日~22日/ドイツ・ハレ/ATP500)に参戦。現地16日の1回戦でルチアーノ・ダルデリ(イタリア/56位)を6-4、3-6、7-6(5)で破り、新タッグ初陣を白星で飾った。

文●中村光佑

【動画】チチパス、メドベージェフら参戦の「テラ・ウォルトマン・オープン」1回戦ハイライト

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