海外テニス

柴原瑛菜が3時間の激闘を制しウインブルドン予選決勝進出!望月慎太郎と綿貫陽介も本戦出場に向けてあと1つ<SMASH>

内田暁

2025.06.26

ダブルスのスペシャリストとして知られる柴原瑛菜は近年シングルスでも力を付けており、現在開催中のウインブルドン予選では決勝へとコマを進めた(写真は6月のノッティンガム大会)。(C)Getty Images

"テニスの聖地"ことウインブルドン選手権の予選が、ロンドン郊外のローハンプトン、"コミュニティスポーツセンター"で6月23日から26日にかけて開催。現地25日には男女2回戦が行なわれ、日本勢では望月慎太郎、綿貫陽介、柴原瑛菜が勝利し予選決勝にコマを進めた。

 勝利の瞬間、精根尽きたように、ヒザから崩れその場に四つん這いになった。柴原(世界ランキング120位)が、マリーナ・バソルス リベラ(スペイン/同238位)を7-6(5)、 6-7(5)、7-5の死闘の末に勝利。その内容も、リードしては追い上げられる苦しいものだった。

 第1セットは相手にブレークを許すも、終盤で追いつきタイブレークの末に先取。第2セットは先に2つのブレークを奪い、5-2と大きくリードし自身のサービスゲームに。勝利は目前だった。

 だがここから、開き直ったか窮地で神経が研ぎ澄まされたか、相手の強打がことごとくラインを捉えだす。「プレッシャーを感じた」という柴原は、ドロップショットやサーブ&ボレーを試みるも、少しでも精度を欠くと相手の餌食になった。

 第2セットを嫌な展開で失った後の、第3セット。柴原はプレーを立て直し、逆に相手はやや集中力の低下が見られる。第4ゲームを柴原がブレークし、5-4で勝利へのサービスゲーム。だがここでも、まだ終わらない。再び相手がリターンで強気に攻め攻め、ブレークバックでイーブンに。さらには5-5のサービスゲームで柴原は、15-40と2連続のブレークの危機に直面した。
 
「ニューボールで、相手のリターンがすごく深く入ってきた」と柴原。流れ的にもここを落としたら、勝負は決すると思われた局面。この場面で柴原は、コートサイドにもはっきり聞こえる声で、「大丈夫、できるよ!」と自分を応援した。

 この声掛けが生きたか、「ファーストサーブをしっかり入れる」ことを意識した柴原は好サービスを連発。このゲームを切り抜けると、ピンチの後にはチャンスあり、リターンゲームで勝負をかけた。通常リターンでは、相手のファーストサービス時はベースラインから下がり、セカンドサービスでポジションを上げるのが定石だろう。だがこの日の柴原は、セカンドの時にポジションを下げた。

「相手のセカンドはスライスが多かった。でもそれほど逃げていく感じではなかったので、少し下がった方が打ちやすいなと思った」

 最終局面で、その読みが生きた。最後は柴原の鋭いリターンを、差し込まれた相手がネットに掛ける。3時間の熱戦を制した柴原は、シングルスでは初のウインブルドン本戦出場をかけ、リンダ・フルビトワ(チェコ/同150位)と対戦する。
 
NEXT
PAGE
望月と綿貫も予選突破に向けて王手をかけた!