全豪、全仏、ウインブルドン、全米――世界中の注目を集めるテニス四大大会は、選手の夢と誇り、そして限界への挑戦が交差する舞台である。そんな最高峰の大会において、長年にわたって議論されてきたのが、シングルスにおける男女の“セット数”の違いだ。
周知の通り男子は通常のツアー大会では3セットマッチ(2セット先取)だが、四大大会では5セットマッチ(3セット先取)が採用されている。一方、女子はツアーも四大大会も一貫して3セットマッチとなっており、この違いをめぐっては、選手の負担やジェンダーギャップ等の観点から様々な意見が飛び交っている。
現在開催中の「ウインブルドン」(6月30日~7月13日)では、この話題について2人のトップ選手が意見を述べた。女子3位のジェシカ・ペグラ(アメリカ/31歳)と男子4位のジャック・ドレイパー(イギリス/23歳)だ。
ペグラは現地1日に行なわれたシングルス1回戦で世界116位のエリザベッタ・コッチャレット(イタリア)と対戦したが、2-6、3-6で完敗し、まさかの初戦敗退。その後の会見で四大大会における男女のセット数の違いについて、女子の3セットマッチを支持する形で次のように持論を展開した。
「もし男子が3セットだったら、もっと番狂わせが起こると思う。私は、女子を5セットにするのではなく、男子が3セットになる方がいい。5セットは長すぎると思う。私自身は5セットマッチになるとテニスへの興味を失ってしまう。試合を5時間も見るなんて、絶対にできない。今の時代、人は何に対しても集中力を保てないと言われているのに、どうやってあんな長い時間、試合を見続けられるのか不思議に思う」
一方、同日の1回戦でセバスチャン・バエス(アルゼンチン/38位)の途中棄権により初戦を突破したドレイパーは5セットマッチを支持。以前は3セットマッチ派だったが、ここ最近になって考えが変わったと明かしている。
「5セットマッチは見応えがあり、グランドスラムならではのものだ。その独自ルールによって大会に特別な威厳が加わる。正直に言えば、5セットマッチは別次元のスポーツのようでもあり、テニス選手にとっては大きな壁にもなる。
競技的な観点から言えば確かにタフだが、その中で生み出される展開の変化はファンにとって非常にスリリングなものになると思う。もし2年前に同じ質問をされていたら、5セットマッチは廃止すべきだと答えていたと思うが、今は四大大会で5セットを戦うことがテニスにとっていかに重要かを理解している」
ペグラとドレイパーの回答からもわかるように、セット数の違いをめぐる考え方は選手によっても様々だ。ぜひとも他の選手たちの意見も聞いてみたいものである。
文●中村光佑
【画像】ドレイパーをはじめ、2025ウインブルドンを戦う男子トップ選手たちの厳選フォト
【画像】ペグラをはじめ、2025ウインブルドンを戦う女子トップ選手たちの厳選フォト
【関連記事】「もっとエキサイティングになるはずだ」キリオスが四大大会男子シングルスのセット短縮を提言<SMASH>
周知の通り男子は通常のツアー大会では3セットマッチ(2セット先取)だが、四大大会では5セットマッチ(3セット先取)が採用されている。一方、女子はツアーも四大大会も一貫して3セットマッチとなっており、この違いをめぐっては、選手の負担やジェンダーギャップ等の観点から様々な意見が飛び交っている。
現在開催中の「ウインブルドン」(6月30日~7月13日)では、この話題について2人のトップ選手が意見を述べた。女子3位のジェシカ・ペグラ(アメリカ/31歳)と男子4位のジャック・ドレイパー(イギリス/23歳)だ。
ペグラは現地1日に行なわれたシングルス1回戦で世界116位のエリザベッタ・コッチャレット(イタリア)と対戦したが、2-6、3-6で完敗し、まさかの初戦敗退。その後の会見で四大大会における男女のセット数の違いについて、女子の3セットマッチを支持する形で次のように持論を展開した。
「もし男子が3セットだったら、もっと番狂わせが起こると思う。私は、女子を5セットにするのではなく、男子が3セットになる方がいい。5セットは長すぎると思う。私自身は5セットマッチになるとテニスへの興味を失ってしまう。試合を5時間も見るなんて、絶対にできない。今の時代、人は何に対しても集中力を保てないと言われているのに、どうやってあんな長い時間、試合を見続けられるのか不思議に思う」
一方、同日の1回戦でセバスチャン・バエス(アルゼンチン/38位)の途中棄権により初戦を突破したドレイパーは5セットマッチを支持。以前は3セットマッチ派だったが、ここ最近になって考えが変わったと明かしている。
「5セットマッチは見応えがあり、グランドスラムならではのものだ。その独自ルールによって大会に特別な威厳が加わる。正直に言えば、5セットマッチは別次元のスポーツのようでもあり、テニス選手にとっては大きな壁にもなる。
競技的な観点から言えば確かにタフだが、その中で生み出される展開の変化はファンにとって非常にスリリングなものになると思う。もし2年前に同じ質問をされていたら、5セットマッチは廃止すべきだと答えていたと思うが、今は四大大会で5セットを戦うことがテニスにとっていかに重要かを理解している」
ペグラとドレイパーの回答からもわかるように、セット数の違いをめぐる考え方は選手によっても様々だ。ぜひとも他の選手たちの意見も聞いてみたいものである。
文●中村光佑
【画像】ドレイパーをはじめ、2025ウインブルドンを戦う男子トップ選手たちの厳選フォト
【画像】ペグラをはじめ、2025ウインブルドンを戦う女子トップ選手たちの厳選フォト
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