現在開催中のテニス四大大会「ウインブルドン」の男子シングルスでまさかの初戦敗退を喫した世界ランキング3位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)が、試合後の記者会見で長らく抱えている精神的苦悩を赤裸々に告白した。
ウインブルドン前哨戦では6月中旬の「ボス・オープン」(ドイツ・シュツットガルト/ATP250)で準優勝を飾り、その直後の「テラ・ウォルトマン・オープン」(ドイツ・ハレ/ATP500)でもベスト4に進出したズベレフだったが、本番では実を結ばなかった。
7月1日に前日から継続して行なわれた1回戦で格下のアルテュール・リンダークネッシュ(フランス/72位)と対戦したズベレフは、6-7 (3)、7-6 (8)、3-6、7-6(5)、4-6のフルセットで敗れ、金星を献上。試合後の会見では「時々大きな孤独感を感じることがある」と語り、今年1月の全豪オープン決勝でヤニック・シナー(イタリア/現1位)に完敗して以来、そうした感情と向き合ってきたと明かした。
「とても孤独に感じる時がある。メンタル的にも苦しい。全豪オープンの後からずっとそんな感じなんだ。そこから抜け出す方法を探しているけど、気が付けばまた同じところに戻ってしまっているような感覚がある。人生全体を通しても、今は本当に孤独感が大きい。とてもつらい感覚だ」
さらには「全てのことに喜びを感じられない状態にある」とも発言。まだ手が届いていない四大大会での優勝は諦めていないものの、私生活を含め、とにかく今は心の健康状態が芳しくないと訴える。
「メンタル面でのセラピー(治療)が必要だと感じるのは初めてかもしれない。メディアでの扱いでも、人生全般でも、本当に色々な困難を経験してきたけど、今までこんなに空っぽに感じたことはない。テニスだけではなく、オフコートでもそんな感じで、全てにおいて喜びが感じられないし、試合で勝っても、以前のように“うれしい”とか“やる気がみなぎってくる”といった感覚が全くない。繰り返しにはなるが、こんな気持ちになるのは人生で初めてだ」
「ベッドに入る時も、“明日も頑張ろう”っていう気持ちが湧いてこないし、“起きて仕事に行こう”という気にもならない。どんな仕事をしていても、誰でも一度はこんな気持ちになったことがあるとは思うが、アスリートの場合は、それがそのままパフォーマンスに大きく影響してしまう。今の自分はまさに、そういう状態なんだ」
一型糖尿病という深刻な持病を抱えながらも、若くからトップ選手として第一線で戦い続けてきたズベレフ。その姿に励まされてきた人も多いだけに、今回の告白はなおさら胸に響く。ツアーを回りながらの目まぐるしい日々は続くが、彼が少しずつでも心の安らぎを取り戻していけることを願うほかない。
文●中村光佑
【動画】ズベレフがリンダークネッシュにフルセットで敗れたウインブルドン1回戦のハイライト
【画像】ズベレフをはじめ、2025ウインブルドンを戦う男子トップ選手たちの厳選フォト
【関連記事】全豪で四大大会3度目の準Vに終わったズベレフ、過去惜敗した決勝を回顧し「優勝する力があると信じなければならない」と奮起<SMASH>
ウインブルドン前哨戦では6月中旬の「ボス・オープン」(ドイツ・シュツットガルト/ATP250)で準優勝を飾り、その直後の「テラ・ウォルトマン・オープン」(ドイツ・ハレ/ATP500)でもベスト4に進出したズベレフだったが、本番では実を結ばなかった。
7月1日に前日から継続して行なわれた1回戦で格下のアルテュール・リンダークネッシュ(フランス/72位)と対戦したズベレフは、6-7 (3)、7-6 (8)、3-6、7-6(5)、4-6のフルセットで敗れ、金星を献上。試合後の会見では「時々大きな孤独感を感じることがある」と語り、今年1月の全豪オープン決勝でヤニック・シナー(イタリア/現1位)に完敗して以来、そうした感情と向き合ってきたと明かした。
「とても孤独に感じる時がある。メンタル的にも苦しい。全豪オープンの後からずっとそんな感じなんだ。そこから抜け出す方法を探しているけど、気が付けばまた同じところに戻ってしまっているような感覚がある。人生全体を通しても、今は本当に孤独感が大きい。とてもつらい感覚だ」
さらには「全てのことに喜びを感じられない状態にある」とも発言。まだ手が届いていない四大大会での優勝は諦めていないものの、私生活を含め、とにかく今は心の健康状態が芳しくないと訴える。
「メンタル面でのセラピー(治療)が必要だと感じるのは初めてかもしれない。メディアでの扱いでも、人生全般でも、本当に色々な困難を経験してきたけど、今までこんなに空っぽに感じたことはない。テニスだけではなく、オフコートでもそんな感じで、全てにおいて喜びが感じられないし、試合で勝っても、以前のように“うれしい”とか“やる気がみなぎってくる”といった感覚が全くない。繰り返しにはなるが、こんな気持ちになるのは人生で初めてだ」
「ベッドに入る時も、“明日も頑張ろう”っていう気持ちが湧いてこないし、“起きて仕事に行こう”という気にもならない。どんな仕事をしていても、誰でも一度はこんな気持ちになったことがあるとは思うが、アスリートの場合は、それがそのままパフォーマンスに大きく影響してしまう。今の自分はまさに、そういう状態なんだ」
一型糖尿病という深刻な持病を抱えながらも、若くからトップ選手として第一線で戦い続けてきたズベレフ。その姿に励まされてきた人も多いだけに、今回の告白はなおさら胸に響く。ツアーを回りながらの目まぐるしい日々は続くが、彼が少しずつでも心の安らぎを取り戻していけることを願うほかない。
文●中村光佑
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