テニス四大大会「ウインブルドン」は現地7月7日に男子シングルス4回戦が行なわれ、第19シードで世界ランキング21位のグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)が第1シードで同1位のヤニック・シナー(イタリア)と対戦。ディミトロフが6-3、7-5、2-2としたところで右胸付近の負傷により途中棄権し、シナーがベスト8進出を決めた。
34歳で元世界3位のディミトロフがウインブルドンに出場するのは5年連続15度目。今大会は西岡良仁(元24位/同82位)、コレンティン・ムテ(フランス/同69位)、セバスティアン・オフナー(オーストリア/元37位/現165位)を破り、4回戦では王者シナーとの注目の対決を迎えた。
試合はディミトロフが3回戦までわずか17ゲームしか失っていなかったシナーを相手に、持ち前の多彩なプレーで序盤から主導権を掌握。今大会1度も破られていなかったシナーのサービスを第2ゲームでブレークすると、残りのサービスゲームをキープして第1セットを先取した。
続く第2セットもディミトロフがシナーの度重なるミスに乗じて第1ゲームでいきなりブレーク。サービング・フォー・ザ・セットとなった第10ゲームでブレークバックを許すも、直後の第11ゲームで2度目のブレークを奪い、早くも2セットアップとした。
約12年ぶり2度目の世界1位撃破へあと1セットと迫ったディミトロフ。しかしそんな彼を待っていたのは“悲劇の結末”だった。
第4ゲームのゲームポイントでサービスエースを放ってキープに成功した直後に突如右胸付近を押さえながら倒れ、対戦相手のシナーもディミトロフの元へ駆け寄る事態に。治療のためディミトロフは一度コートを離れたが、プレー続行はできず、試合開始から約2時間が経過したところで途中棄権を表明。退場時にはシナーにラケットバッグを担いでもらい、涙を流しながらコートを後にした。
思わぬ形で勝利したシナーは無念のリタイアとなったディミトロフを次のように気遣った。
「正直、何と言えばいいのかわからない。彼は本当に素晴らしい選手で、それは今日のプレーを見れば誰もが感じたと思う。ここ数年、彼は不運続きではあるが、素晴らしい選手であり、僕の良き友人でもある。コート外でもお互いをよく理解している仲なんだ。そんな彼がこんな結末に見舞われたのは、本当につらい。もし彼が次のラウンドをプレーできる可能性があるなら、彼こそその場にふさわしい選手だと思う」
「彼にとっては本当に不運なこと。早い回復を願っている。僕はこの試合に勝ったとは思っていない。ただただ、不運な出来事を目の当たりにした。彼は最近の四大大会でもケガに苦しんでいて、またこうしてケガをするところを見るのはとてもつらい。彼がこのスポーツにどれだけ真剣に向き合っているかはわかるし、ツアーで最も努力する選手の一人。本当に残念だ」
この結果シナーは4年連続4度目のウインブルドン8強入り。2023年以来2年ぶりのベスト4進出を懸け、準々決勝では第10シードのベン・シェルトン(アメリカ/同10位)と対戦する。
文●中村光佑
【画像】ディミトロフほか、ウインブルドン2025を戦う男子トップ選手たちの厳選フォト
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【関連記事】ウインブルドンで快走中の世界王者シナー、全仏オープン決勝敗退の悪影響について「そんなものはない」と完全否定<SMASH>
34歳で元世界3位のディミトロフがウインブルドンに出場するのは5年連続15度目。今大会は西岡良仁(元24位/同82位)、コレンティン・ムテ(フランス/同69位)、セバスティアン・オフナー(オーストリア/元37位/現165位)を破り、4回戦では王者シナーとの注目の対決を迎えた。
試合はディミトロフが3回戦までわずか17ゲームしか失っていなかったシナーを相手に、持ち前の多彩なプレーで序盤から主導権を掌握。今大会1度も破られていなかったシナーのサービスを第2ゲームでブレークすると、残りのサービスゲームをキープして第1セットを先取した。
続く第2セットもディミトロフがシナーの度重なるミスに乗じて第1ゲームでいきなりブレーク。サービング・フォー・ザ・セットとなった第10ゲームでブレークバックを許すも、直後の第11ゲームで2度目のブレークを奪い、早くも2セットアップとした。
約12年ぶり2度目の世界1位撃破へあと1セットと迫ったディミトロフ。しかしそんな彼を待っていたのは“悲劇の結末”だった。
第4ゲームのゲームポイントでサービスエースを放ってキープに成功した直後に突如右胸付近を押さえながら倒れ、対戦相手のシナーもディミトロフの元へ駆け寄る事態に。治療のためディミトロフは一度コートを離れたが、プレー続行はできず、試合開始から約2時間が経過したところで途中棄権を表明。退場時にはシナーにラケットバッグを担いでもらい、涙を流しながらコートを後にした。
思わぬ形で勝利したシナーは無念のリタイアとなったディミトロフを次のように気遣った。
「正直、何と言えばいいのかわからない。彼は本当に素晴らしい選手で、それは今日のプレーを見れば誰もが感じたと思う。ここ数年、彼は不運続きではあるが、素晴らしい選手であり、僕の良き友人でもある。コート外でもお互いをよく理解している仲なんだ。そんな彼がこんな結末に見舞われたのは、本当につらい。もし彼が次のラウンドをプレーできる可能性があるなら、彼こそその場にふさわしい選手だと思う」
「彼にとっては本当に不運なこと。早い回復を願っている。僕はこの試合に勝ったとは思っていない。ただただ、不運な出来事を目の当たりにした。彼は最近の四大大会でもケガに苦しんでいて、またこうしてケガをするところを見るのはとてもつらい。彼がこのスポーツにどれだけ真剣に向き合っているかはわかるし、ツアーで最も努力する選手の一人。本当に残念だ」
この結果シナーは4年連続4度目のウインブルドン8強入り。2023年以来2年ぶりのベスト4進出を懸け、準々決勝では第10シードのベン・シェルトン(アメリカ/同10位)と対戦する。
文●中村光佑
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