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海外テニス

17歳の園部八奏、元全豪女王ケニンに敗れるも堂々の内容!プロ転向2大会目で見せた成長の証<SMASH>

内田暁

2025.10.24

ケニンとの激闘を経て迎えた記者会見で見せた園部の悔し涙は、新たな旅路を歩み出した17歳をさらに強くするはずだ。写真:金子拓弥(THE DIGEST 写真部)

ケニンとの激闘を経て迎えた記者会見で見せた園部の悔し涙は、新たな旅路を歩み出した17歳をさらに強くするはずだ。写真:金子拓弥(THE DIGEST 写真部)

 失う物のない挑戦者が序盤はリードするも、経験に勝る上位選手が適応し地力を発揮していく――、それは勝負の世界ではよく目にする光景であり、多くの場合、後者がそのまま地力を発揮し勝利を手にする。

 だが園部は、そうではない。

「第2セットを落とした後、1度トイレに行って、全部切り替えてゼロにして、ファイナルセットは1ポイント目からまたギアをガッと上げて集中し直そうと思った」

 自分や試合の状況を客観視し、何が必要かを分析する冷静さも、そして再び「ギアをガッと上げる」闘志も、彼女は十分に備えていた。

 果たしてファイナルセットは最初のゲームで、園部がいきなりブレークポイントを手にする。その機を逃し、逆に直後のゲームではブレークの危機に面するが、ここは好サービスと攻めの姿勢で切り抜ける。

 互角の激しいつば迫り合いのなか、ちょうど試合開始から2時間経った時、ケニンがこの試合最初のマッチポイントに至った。だが恐れを知らぬ17歳は、サービスで相手の体勢を崩し、最も自信を持つフォアハンドの強打を迷いなくストレートに叩き込んでウイナーを決める。

 2度目のマッチポイントも、センターにピンポイントで叩き込むエースで切り抜けた。ピンチをピンチとも思わせぬ堂々たるプレーで、このゲームも園部がキープ。試合は並走状態のまま、最終局面へと突入した。
 
 7ポイント先取のタイブレークは、園部のフォアのウイナーで幕を開ける。

 勝利へ踏み出した、大きな一歩。

 だが直後に、園部が「この試合最大の悔い」に挙げるポイントが訪れた。安全を期してか、やや入れにいったサービスを、ケニンにリターンで叩かれる。続くポイントでは、ラリーをネットにかけた。

「2ポイント目の自分のサーブで、もう少しいいテニスができたら、変わった結果になったかなと思います」

 会見での園部は、涙を浮かべて件の場面を振り返る。そしてここで相手に渡った主導権は、再び園部の手に戻ってくることはなかった。

「試合に負けた後はいつも泣くけれど、今日はいつもより悔しい」という涙は、善戦ではなく勝利を渇望していた証。

「苦しい場面やマッチポイントでも、しっかり自分から打っていけたのはすごく自信になった」

 コートから持ち帰った種々の感情とこの自信が、新たな海に漕ぎ出した17歳に、進むべき道を示す。

取材・文●内田暁

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