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海外テニス

大舞台でプロ初勝利を挙げた園部八奏。「大きくズドンと構えていた方がいい」17歳が示した大器の片りん<SMASH>

内田暁

2025.10.22

「エネルギーを出すこと」を貫いた17歳、園部八奏は、大胆な読みと破壊力のある強打でゲームを支配した。写真:滝川敏之

「エネルギーを出すこと」を貫いた17歳、園部八奏は、大胆な読みと破壊力のある強打でゲームを支配した。写真:滝川敏之

 屋根の閉じた有明コロシアムに快音轟かせ、強打が次々にコートをえぐった。

 大きなテイクバックから、長い左腕を身体に巻きつけ振り抜くと、黄色いボールは相手のラケットに触れることなく、後方のフェンスを叩く。

「今年の全豪オープンジュニアを制した17歳とは、どれほどの選手か」と見守る観客たちに、名刺代わりの豪快プレーを披露。約2週間前にプロ転向を果たした園部八奏(そのべわかな)が、日本テニスの聖地・有明で開催中の女子ツアー「東レ パンパシフィックオープン」(WTA500)にて、プロ初勝利を手にした。

 園部が『プロテニスプレーヤー』の肩書きを背負いコートに立つのは、先週の「ジャパンオープン」が初めて。しかも初戦の相手は、大坂なおみだった。自身を「肝が据わっている」と評していた彼女が、「ものすごく緊張した」がゆえの、0-6、4-6の敗戦。試合後には「できることなら、やり直したい」と唇を噛むほどに、悔いを募らせたプロデビュー戦だった。

 その苦い思いを繰り返さないためにも、この1週間は、「立ち上がりから足を動かし、エネルギーを出す」ことに力点を置き練習を重ねてきたという。
 
 そして迎えた、今大会――相手のニコラ・バルトゥンコワは、世界132位の19歳。この半年間で、400位近くランキングを駆け上がってきた、こちらも勢いある新鋭だ。

 その立ち上がり、263位の園部は自身のサービスゲームを失う。ゲームポイントが3本ありながら許したブレークは、精神的ショックも大きいかに思われた。

 だが園部の胸中、そしてその後のプレーは、1週間前とは大きく異なる。

「自分のプレーは、悪くない。ちゃんとエネルギーも出せている。先週よりもずっと良い」

 その手応えと前向きな姿勢は、伸びやかなプレーに、そしてスコアにも反映されていく。ゲームカウント2-4でのサービスゲームを、6度のデュースの末にキープ。そうして続くゲームでは、デュースから2連続ウイナーでブレークをもぎ取った。

 特にデュースからのポイントは、リターンを深く鋭く打ち返し、返球を迷わずバックでダウンザラインへと叩き込む。「相手のセカンドサーブの時は、強気でポイントを取りに行こうと決めていた」という決意を、清々しいまでに貫いた。
 
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