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海外テニス

快勝でも拭えない“葛藤”。「1ミリもうれしくない」と本心を紡ぐ錦織圭の慶應チャレンジャー復帰2戦目<SMASH>

内田暁

2025.11.21

大会の規模や観客の数に関係なく、「テニスを楽しんでいるかどうか」を指標とする錦織(左)。次戦はIMGアカデミーの後輩・内田(右)との3回戦に臨む。写真:滝川敏之

大会の規模や観客の数に関係なく、「テニスを楽しんでいるかどうか」を指標とする錦織(左)。次戦はIMGアカデミーの後輩・内田(右)との3回戦に臨む。写真:滝川敏之

 次のリターンゲームでは、バックサイドに来たボールを、軽快なバックステップでフォアに回り込み、目の覚めるウイナーを叩き込む。客席から一斉に沸き起こる、「おーっ!」という感嘆の声。迷いなく攻める錦織が、次々とポイントを重ねた。

 当初の「じっくり打ち合う」というプランから、果たして変化があったのだろうか? 錦織が言う。

「じっくりいった結果、やっぱり自分のテニスを心掛けないと、なんとなく歯車が噛み合わなくなってくる。動きも悪くなってきて、自分のしたいことができなくなってくる。それで、変なミスも出てくるみたいな感じになった。なので攻める意識というのは、調子がいいか悪いか関係なく、持っとかないといけないなっていうのを再認識しました」

 攻めの姿勢を貫いた結果、大きく広げたゲームカウント4-0のリード。

 ただここから、本人いわく「リードすると気が抜ける僕の悪いクセ」が顔を出した。チャンスボールで攻めるフォアがラインを割り、じりじりと追いつかれる。それでも錦織が気持を引き締め、一段ギアを上げれば、地力や経験の差は明確だった。第1セットは、ゲームカウント4-4から抜け出し6-4。

 第2セットでは、第4ゲームで4度のデュースを切り抜けキープしたのを機に、4ゲーム連取でゴールまで走り切った。
 
 冒頭で記した「勝っても、1ミリもうれしくない」の言葉を試合後の会見で口にした時、錦織は「なんかこう......、大丈夫かな」と自分に問いかけた。

 それは錦織にとって、「テニスが楽しい」と思えることが、何より大切だからだろう。ここ数年、「正直、身体はキツイ」ながらも「毎日、ジムや練習に行くのは結構楽しんでいる」とも言う。

 そこがテニスコートである限り、大会のグレードや観客の数とは関係なく、彼が自分を測る指標は「テニスを楽しんでいるかどうか」だ。

 3回戦での錦織は、求める「楽しい」気持ちを得られるだろうか? 相手は、IMGアカデミーの後輩でもある、内田海智。そのポテンシャルを錦織も認める実直なパワーヒッターは、自ずと、熱い思いを掻き立ててくれる相手でもあるはずだ。

取材・文●内田暁

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