「最初に食事を意識するようになったのは、NTC(ナショナルトレーニングセンター)に行って栄養士さんにバランスの良い食事のとり方などを教わった時だと思います。
でもやはり自分でちゃんと考えるようになったのは、高校を卒業し、テニスラボの人たちと家をシェアするようになった19歳の頃からですね。今は基本3人で一緒に生活しているんですが、こっちに来てから外食を控え、バランスの良い食事を自分たちで作るようになりました。そうしたら、苦手だったものも食べられるようになったんです。
料理は、あんまり凝ったものは作れないので、炒めものが多いです。肉と野菜をたっぷり。あとは、ヨーグルトや納豆などの発酵食品も取るようにしています」
そのように、日本にいる時は自炊をする清水だが、難しいのは海外への遠征時。フューチャーズなどの下部大会では、会場のレストランも充実しているとは言い難く、安心して食べられるものも限られる。そうでなくても体調面を考慮すると、食でのリスクは犯せない。
「海外に行くと、いつもよりバランスが取れなかったりします。外食の値段が高い国も多いですし。でもそこはお金をケチらないで、身体に良いものを食べるようにしています。
遠征中は、サラダ以外の生ものは絶対に食べない。ジュニアの時に一度あたったことがあるので、日本でも大会期間中は食べないです。あとは揚げ物も消化が遅いと聞いたので、避けるようにしています。
試合がある日は、始まる2~3時間前には、絶対に食事は食べるようにします。そこから試合までの間にお腹が空いたら、バナナやおにぎりなど軽いものを。試合中はバナナかゼリー。あとは、電解質の入ったスポーツドリンクを取るようにしています」
そのような配慮の賜物だろうか。清水はこれまで、試合中にケイレンに襲われたことは無いという。
そんな彼に、食にまつわるこだわりを尋ねると…、「こだわりなんですが、全然ないんです」と、バツが悪そうな笑みが返ってきた。
「食事だけでなく、テニスの道具とかにも、あまりなくて……」
だが「こだわりのなさ」とは換言すれば、自分を見失わぬ泰然さと、いかなる状況にも対応できる適応力の高さだとも言える。だからこそ彼は、恥じらいの笑みを屈託のないそれに変えて、幾分胸を張って言った。
「こだわりがないことを、こだわりにすれば良いのかなって。同じものを食べるとかは海外では無理なので、こだわりが強すぎると難しいですから」
プレーと同様に柔軟性があり、小柄な身体も売りとする発想の転換力こそが彼の武器。ツアーが中断しているこの時期は、弱点とみなされるフォアハンドを強化する好機と捉えて、日々練習に励んでいる。
一本芯の通った信念と、気負わず苦手も克服していく自然体。それらをバランスよく操りながら、自身と向き合う日常も、ツアーの荒波も乗り越えていく。
取材・文●内田暁
【日本人男子選手PHOTO】NEXT錦織は誰だ? 世界を目指す男子選手たち
でもやはり自分でちゃんと考えるようになったのは、高校を卒業し、テニスラボの人たちと家をシェアするようになった19歳の頃からですね。今は基本3人で一緒に生活しているんですが、こっちに来てから外食を控え、バランスの良い食事を自分たちで作るようになりました。そうしたら、苦手だったものも食べられるようになったんです。
料理は、あんまり凝ったものは作れないので、炒めものが多いです。肉と野菜をたっぷり。あとは、ヨーグルトや納豆などの発酵食品も取るようにしています」
そのように、日本にいる時は自炊をする清水だが、難しいのは海外への遠征時。フューチャーズなどの下部大会では、会場のレストランも充実しているとは言い難く、安心して食べられるものも限られる。そうでなくても体調面を考慮すると、食でのリスクは犯せない。
「海外に行くと、いつもよりバランスが取れなかったりします。外食の値段が高い国も多いですし。でもそこはお金をケチらないで、身体に良いものを食べるようにしています。
遠征中は、サラダ以外の生ものは絶対に食べない。ジュニアの時に一度あたったことがあるので、日本でも大会期間中は食べないです。あとは揚げ物も消化が遅いと聞いたので、避けるようにしています。
試合がある日は、始まる2~3時間前には、絶対に食事は食べるようにします。そこから試合までの間にお腹が空いたら、バナナやおにぎりなど軽いものを。試合中はバナナかゼリー。あとは、電解質の入ったスポーツドリンクを取るようにしています」
そのような配慮の賜物だろうか。清水はこれまで、試合中にケイレンに襲われたことは無いという。
そんな彼に、食にまつわるこだわりを尋ねると…、「こだわりなんですが、全然ないんです」と、バツが悪そうな笑みが返ってきた。
「食事だけでなく、テニスの道具とかにも、あまりなくて……」
だが「こだわりのなさ」とは換言すれば、自分を見失わぬ泰然さと、いかなる状況にも対応できる適応力の高さだとも言える。だからこそ彼は、恥じらいの笑みを屈託のないそれに変えて、幾分胸を張って言った。
「こだわりがないことを、こだわりにすれば良いのかなって。同じものを食べるとかは海外では無理なので、こだわりが強すぎると難しいですから」
プレーと同様に柔軟性があり、小柄な身体も売りとする発想の転換力こそが彼の武器。ツアーが中断しているこの時期は、弱点とみなされるフォアハンドを強化する好機と捉えて、日々練習に励んでいる。
一本芯の通った信念と、気負わず苦手も克服していく自然体。それらをバランスよく操りながら、自身と向き合う日常も、ツアーの荒波も乗り越えていく。
取材・文●内田暁
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