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海外テニス

「彼との試合はテストなんだ」グランドスラム20勝を誇るフェデラーを成長させた「ナダル」という不可欠な存在【男子テニス】

中山和義

2020.04.25

フェデラーにとってナダルは「最強のライバル」であると同時に、自分の成長を促す「最高のライバル」でもある。(C)GettyImages

フェデラーにとってナダルは「最強のライバル」であると同時に、自分の成長を促す「最高のライバル」でもある。(C)GettyImages

 ウインブルドン終了後、237週連続でランキング1位だったフェデラーが、そのトップの座をナダルに明け渡すことになった時には、

「ひどいプレーをした末にトップを譲るのは嫌だった。だから、ラファが苦労してそこに到達したのはうれしい。彼は王座にふさわしいプレーヤーだ」

 とライバルを称えている。

 翌2009年、フェデラーに全仏オープン優勝のチャンスが訪れる。ナダルがケガの影響もあり、4回戦でロビン・ソダーリングに敗れたのだ。すると苦労しながら決勝まで勝ち進んだフェデラーは、ナダルを破ったソダーリングと対戦した。

 念願のタイトルが懸かった1戦では、緊張のためかフェデラーにしては考えられないようなミスを連発した。だがそれでも、ついに生涯グランドスラムを達成できるサービスゲームを迎える。その時の心境を次のように語っている。

「ほとんどプレーできる状態じゃなかった。ただ、いいサービスが入って欲しい。そして、相手には4本ミスして欲しいと願っていた…」

 そしてこのゲームをキープしたフェデラーは、見事に生涯グランドスラムを達成する。
 
「ラファが決勝に上がってこない時に、自分が決勝にいたら勝てるだろうと思っていた。そんな日がいつかくると思っていたし、信じていた。それが完璧に実現した」

 と優勝インタビューでは、ナダルのことを口にした。

「フェデラーよりも、自分こそがナンバー1にふさわしいと思うか?」と、ナダルはよく聞かれるそうだ。そんな時に彼はいつも、「ロジャーの偉業は明白で、他の人が簡単に破れるものではない」と答えている。

 心が通じ合う強力なライバルのナダルがいたからこそ、フェデラーの偉業は達成されたと言えるだろう。

文●中山和義

【PHOTO】あの名シーンも!史上屈指のライバル、フェデラー&ナダルの"若かりし頃"ギャラリー
 

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