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国内テニス

遠征にはハプニングが付き物!? 韓国で感じた、たくさんの人の温かさ【プロテニス選手コラム/輿石亜佑美】

輿石亜佑美

2020.06.04

現地の人々に助けられ、何とかホテルにたどり着いた輿石(写真は昨年全日本でのインタビュー時のもの)。写真=スマッシュ写真部

現地の人々に助けられ、何とかホテルにたどり着いた輿石(写真は昨年全日本でのインタビュー時のもの)。写真=スマッシュ写真部

 全くタクシーが捕まらず焦った私は、泣きそうになりながら、ずっと母にどうしよう、と連絡していました。母はとても心配して、すぐにでも韓国に飛んで来そうな勢いでした。空港からホテルの部屋に着くまで、常に連絡を取り、励ましてくれた母ですが、日本にいるので、どうすることもできないもどかしさでいっぱいだったと思います。

 この経験から、遠征に行く前にしっかり調べてから出発すること、初めての場所に行くときは、飛行機の到着時間を昼間にすること、タクシーは大きな町で乗ること、が教訓になりました。

 私のつたない英語に加え、駅員さんはもちろん韓国語だったので、全く会話が成立しないまま時間が過ぎていきました。実際に駅にいたのは、1時間ほどでしたが、初めての場所、通じない言語、夜遅い時間、と不安が募るには十分すぎる状況でした。

 最終的には、駅員さんが道路で何とかタクシーを捕まえ、行先も伝えてくださいました。何回もタクシー会社に電話し、たくさん話しかけ、外に出てタクシーを止めて行先まで伝えてくださった駅員さんには、言葉は通じなくても、とても温かい心を感じました。
 
 タクシーが出発した頃には、もう21時を過ぎていました。なんとか会場の敷地内には到着したのですが、宿泊施設は学校の寮のような場所だったので、レセプションがなく、さらに電気がついておらず真っ暗。建物がたくさんあってどれかわからない、という次の難関が立ちはだかりました。おそらく着くのが遅すぎて、チェックイン担当の人が帰ってしまったようなのです。

 タクシーの運転手さんも駅員さんと同様、とても優しく、清算が終わっていたにも関わらず一緒に探し回ってくれました。それでも全然見つからずに、うろうろしていたら、通りかかった韓国人学生が、たまたま日本語を勉強しており、通訳してくれたのです。大会のレフェリーに電話をし、ルームナンバーを聞き、カギを取りに行き、部屋まで案内してくれました。その学生さんがいなかったら、私はその日、部屋に入れなかったかもしれません。
 
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