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海外テニス

“聖地の神様”が伊達公子に与えたベスト4の栄誉と日没という悪戯…/1996年女子準決勝【ウインブルドン名勝負】

スマッシュ編集部

2020.07.09

選ばれた者しか立つことのできないセンターコートで伊達は、“芝の女王”グラフをじりじりと追い詰めていった…。写真:滝川敏之(THE DIGEST写真部)

選ばれた者しか立つことのできないセンターコートで伊達は、“芝の女王”グラフをじりじりと追い詰めていった…。写真:滝川敏之(THE DIGEST写真部)

 男子の相次ぐシードダウンとは裏腹に、女子はシード勢が順当に勝ち上がっていた。ベスト8を懸けて戦う相手も、第3シードのコンチータ・マルチネスである。

 確かに今までの対戦成績も良く、競り合いの末勝っていることは、伊達にとって有利に働くかもしれない。しかし、油断はならない。相手は「今度こそ」という気持ちで臨んでくるのだから。

 雨による2度の中断があった第1セットは5-7で落とした伊達だが、第2セットはタイブレーク4-4までもつれ込む。この時、伊達は決して消極的になることはなく、自分のペースで試合を組み立てた。7-5でタイブレークを制すると、動きが緩慢になったマルチネスは、もう伊達の速いストロークについていけない。結局、伊達は6-3でファイナルをもぎ取り、ベスト8進出を決めた。

 次のマリー・ピアース戦は、センターコートで、というニュースが伊達の耳に飛び込んだ。「できることなら勝ち上がって自分の力でセンターコートに行きたい」。かねてからの夢がかなった瞬間だった。

 大歓声を浴びてセンターコートに足を踏み入れる。爪先を立ててヒザを折り曲げる。はにかみがちの笑顔が清々しい。
 
 対戦相手はピアース。長身からのサービスと、ストロークの強打に恐ろしさはあるが、球筋はマルチネスより素直で、伊達にとっては戦いやすい相手だ。

 第1セットこそ、その強打に苦しみ3-6で落としたが、相手のストロークのスピードを生かしたライジングでプレッシャーをかけて追い込んでゆく。伊達の持ち味、リターンゲームの強さもあってピアースは集中力を欠いていった。

 第2セットは、ストローク戦。こうなれば伊達のもの、結局第2セット6-3、第3セット6-1で勝負を決めた。初めてのセンターコートで“聖地”の神様は伊達に勝利だけでなく、ベスト4という栄誉も与えた。

 準決勝の相手はグラフ。先のフェドカップの再戦だ。

 グラフは「サーフェスが違えば、展開も変わる」と芝の女王らしく自信に満ち、伊達は「グラフとの戦い方が間違っていないとフェドで確信した。100%の力で臨みたい」と気合十分だ。
 

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