第1セット5-5で迎えたロディックのサービス。この試合初めてのブレークポイントが訪れたが、ロディックは辛抱強くそれを4本しのぐと、次のゲームでは30-40からバックのダウンザラインの強打でフェデラーのミスを誘い、ワンチャンスでこのセットをもぎ取った。
しかし第2セットのタイブレーク、ロディックは6-2のリードからチャンスボールのミスも絡んで落としてしまう。以前の彼なら尾を引いて崩れていただろうが、この日は全く集中力が落ちなかった。「投げ出すか、続けるか、選択肢は2つだけ。なら続ける方がいいと思った」。
第3セットもタイブレークをフェデラーが取ったが、徐々にストレスをためこんでいったのは、実はフェデラーの方だった。セットカウントは2-1リードだが、彼はまだ一度もサービスをブレークできていない。「時々すごくイライラしたよ。何せ最後の最後までアンディのサービスを破れなかったんだから」。
第4セットはロディックが6-3で奪い、試合はいよいよファイナルへ。タイブレークのない第5セットは、どちらかがブレークしない限り決着がつかない。第2ゲームのロディックのサービスで1本ブレークポイントがあった以外は、お互いに全く隙を見せず、万全のキープが続く。
5-5、6-6、7-7……。8-8フェデラーのサービスで15-40のピンチがあったが、強烈なサービスを軸に切り抜けると、再び試合はキープ合戦に突入。ほとんどがラブゲームか40-15で決まり、30まで行こうものなら観客がざわつくという完璧なキープが、いつ果てるともなく繰り返された。
終幕が訪れたのは、このセットだけで1時間半以上が経過した第30ゲームだった。それとてフェデラーが何か明確な手を打ったわけでも、ロディックが乱れたわけでもない。ただ若干ロディックのショットの精度が落ちたところに、何本かのイレギュラーが重なっただけのことだ。ロディックはデュースからフォアのフレームショットを2本続け、万事休した。飛び上がって歓喜するフェデラーと無表情に佇むロディック。
あえてフェデラーの勝因を挙げるなら、「ウインブルドンの決勝で5セットを戦うのがどういうことなのか、僕にはわかっている」と語る彼が、最後までプレーの質を一定に保ち続けたことだろうか。総計77ゲームは四大大会の決勝史上最多、1セット30ゲームも大会の決勝最多記録だった。
◆2009年男子決勝
R・フェデラー[5-7 7-6(6) 7-6(5) 3-6 16-14]A・ロディック
取材・文● 渡辺隆康(スマッシュ編集部)
※スマッシュ2009年9月号を再編集
【PHOTO】芝の王者、ロジャー・フェデラーの「ウインブルドン2019」を振り返る!
しかし第2セットのタイブレーク、ロディックは6-2のリードからチャンスボールのミスも絡んで落としてしまう。以前の彼なら尾を引いて崩れていただろうが、この日は全く集中力が落ちなかった。「投げ出すか、続けるか、選択肢は2つだけ。なら続ける方がいいと思った」。
第3セットもタイブレークをフェデラーが取ったが、徐々にストレスをためこんでいったのは、実はフェデラーの方だった。セットカウントは2-1リードだが、彼はまだ一度もサービスをブレークできていない。「時々すごくイライラしたよ。何せ最後の最後までアンディのサービスを破れなかったんだから」。
第4セットはロディックが6-3で奪い、試合はいよいよファイナルへ。タイブレークのない第5セットは、どちらかがブレークしない限り決着がつかない。第2ゲームのロディックのサービスで1本ブレークポイントがあった以外は、お互いに全く隙を見せず、万全のキープが続く。
5-5、6-6、7-7……。8-8フェデラーのサービスで15-40のピンチがあったが、強烈なサービスを軸に切り抜けると、再び試合はキープ合戦に突入。ほとんどがラブゲームか40-15で決まり、30まで行こうものなら観客がざわつくという完璧なキープが、いつ果てるともなく繰り返された。
終幕が訪れたのは、このセットだけで1時間半以上が経過した第30ゲームだった。それとてフェデラーが何か明確な手を打ったわけでも、ロディックが乱れたわけでもない。ただ若干ロディックのショットの精度が落ちたところに、何本かのイレギュラーが重なっただけのことだ。ロディックはデュースからフォアのフレームショットを2本続け、万事休した。飛び上がって歓喜するフェデラーと無表情に佇むロディック。
あえてフェデラーの勝因を挙げるなら、「ウインブルドンの決勝で5セットを戦うのがどういうことなのか、僕にはわかっている」と語る彼が、最後までプレーの質を一定に保ち続けたことだろうか。総計77ゲームは四大大会の決勝史上最多、1セット30ゲームも大会の決勝最多記録だった。
◆2009年男子決勝
R・フェデラー[5-7 7-6(6) 7-6(5) 3-6 16-14]A・ロディック
取材・文● 渡辺隆康(スマッシュ編集部)
※スマッシュ2009年9月号を再編集
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