土居の「泥臭くさても勝つ」という強きメンタリティは、日比野よりもさらに過酷な状況下で得たと言えるかもしれない。昨年6月頃、土居はランキングを300位台にまで落とす中で、ITF25000ドルの大会に立て続けに出場していた。
テニスの状態的には、本人曰く「試合になってないじゃないか!」と自らに憤るほどに、崩れていた時期でもある。それでも必死に勝つ方法を見出しながら、我武者羅に勝ち星に手を伸ばした。
その時の経験が、現在の土居の「心の奥底にある何か……奮起する材料になっている」のだという。今大会では初戦で、3連続マッチポイントをしのぎ奇跡的な逆転劇を演じた。そして準決勝では、ブレークアップして迎えた第2セットの第7ゲームを、7回のデュースの末にキープして相手の心をへし折った。このゲームでは、サウスポー優位と言われるアドサイドでなかなかポイントが取れなかったが、マッチポイントでは、スライスサービスで相手を追い出し、フォアをストレートに叩き込むセオリー通りのポイント奪取。「最後はサウスポーの利点を生かしました」と笑う、快心の幕引きである。 日比野も土居もともに、ランキングを落とし、下部大会での言わば泥仕合も経験した中で至った、日本開催のツアーでの頂上決戦という最も華やかな舞台。
その二人は、決勝の相手が決まった時、いずれも同じ言葉を口にした。
「楽しい試合をお見せします!」
ファンはもちろん、当事者たちもが楽しみにする一戦が待ち受けている。
取材・文●内田暁
テニスの状態的には、本人曰く「試合になってないじゃないか!」と自らに憤るほどに、崩れていた時期でもある。それでも必死に勝つ方法を見出しながら、我武者羅に勝ち星に手を伸ばした。
その時の経験が、現在の土居の「心の奥底にある何か……奮起する材料になっている」のだという。今大会では初戦で、3連続マッチポイントをしのぎ奇跡的な逆転劇を演じた。そして準決勝では、ブレークアップして迎えた第2セットの第7ゲームを、7回のデュースの末にキープして相手の心をへし折った。このゲームでは、サウスポー優位と言われるアドサイドでなかなかポイントが取れなかったが、マッチポイントでは、スライスサービスで相手を追い出し、フォアをストレートに叩き込むセオリー通りのポイント奪取。「最後はサウスポーの利点を生かしました」と笑う、快心の幕引きである。 日比野も土居もともに、ランキングを落とし、下部大会での言わば泥仕合も経験した中で至った、日本開催のツアーでの頂上決戦という最も華やかな舞台。
その二人は、決勝の相手が決まった時、いずれも同じ言葉を口にした。
「楽しい試合をお見せします!」
ファンはもちろん、当事者たちもが楽しみにする一戦が待ち受けている。
取材・文●内田暁