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国内テニス

大会史上初の日本人頂上対決が実現!快挙の裏に隠されたファイナリスト日比野と土居の知られざる葛藤とは

内田暁

2019.09.14

泥臭く勝利にこだわり続けた土居が、またひとつ壁をぶち抜いた。15日にシングルス決勝を戦う日比野と土居は、その後に行なわれるダブルス決勝ではペアを組んでタイトルに挑む。写真:内田暁

泥臭く勝利にこだわり続けた土居が、またひとつ壁をぶち抜いた。15日にシングルス決勝を戦う日比野と土居は、その後に行なわれるダブルス決勝ではペアを組んでタイトルに挑む。写真:内田暁

 土居の「泥臭くさても勝つ」という強きメンタリティは、日比野よりもさらに過酷な状況下で得たと言えるかもしれない。昨年6月頃、土居はランキングを300位台にまで落とす中で、ITF25000ドルの大会に立て続けに出場していた。

 テニスの状態的には、本人曰く「試合になってないじゃないか!」と自らに憤るほどに、崩れていた時期でもある。それでも必死に勝つ方法を見出しながら、我武者羅に勝ち星に手を伸ばした。

 その時の経験が、現在の土居の「心の奥底にある何か……奮起する材料になっている」のだという。今大会では初戦で、3連続マッチポイントをしのぎ奇跡的な逆転劇を演じた。そして準決勝では、ブレークアップして迎えた第2セットの第7ゲームを、7回のデュースの末にキープして相手の心をへし折った。このゲームでは、サウスポー優位と言われるアドサイドでなかなかポイントが取れなかったが、マッチポイントでは、スライスサービスで相手を追い出し、フォアをストレートに叩き込むセオリー通りのポイント奪取。「最後はサウスポーの利点を生かしました」と笑う、快心の幕引きである。
 日比野も土居もともに、ランキングを落とし、下部大会での言わば泥仕合も経験した中で至った、日本開催のツアーでの頂上決戦という最も華やかな舞台。

 その二人は、決勝の相手が決まった時、いずれも同じ言葉を口にした。

「楽しい試合をお見せします!」

 ファンはもちろん、当事者たちもが楽しみにする一戦が待ち受けている。

取材・文●内田暁
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