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海外テニス

全米決勝で戦う大坂なおみとアザレンカ。"同じコーチ"を求めた2人が持つ共通の思いとは…【全米テニス】

内田暁

2020.09.12

今回の全米決勝が通算4度目の対戦となる大坂とアザレンカは、立ち位置こそ違うが考え方には似た部分がある。(C)Getty Images

今回の全米決勝が通算4度目の対戦となる大坂とアザレンカは、立ち位置こそ違うが考え方には似た部分がある。(C)Getty Images

「7年前の私は、グランドスラムでも優勝し、常に勝つことを自分にも求めてきた。でも今は違う。今はあらゆることに感謝し、とても楽しめている」

“あの頃”との違いをそう述懐するアザレンカは、今の境地に至る最も重要なプロセスを、「エゴ(=自尊心)を振り払ったこと」だとも言った。

「かつての私は、世界1位にもなり、自分は他の誰よりも強いと勘違いしてしまった。自尊心が肥大し、それが傷つけられた時のダメージはとてつもなく大きかった」

 そのエゴを打ち消す最大のレッスンとは、「たくさん負けること」だったとも元女王は振り返る。

「たくさん負け、幾度も失望し、そこから多くを学んでチャレンジし続けた自分を誇りに思う。私は、良いテニス選手になったと言っているのではない。自分のため、そして息子のためにも、人として成長できたと言っているの」

 その「人として成長するための、多くの敗戦」には、この2年間で大坂に敗れた2つの敗戦も含まれているのだろう。

 対する大坂は、「年齢を重ねるごとに、精神的に強くなっていると感じる」と言った。それら自信を構築するのは「何年もツアーを転戦する中で積み重ねてきた試合経験」であり、その起点には、グランドスラム本戦で初めて喫した、4年前のアザレンカ戦の敗戦がある。
 
 現在の女子テニスで、大坂とアザレンカが心技体全てにおいて最も充実していることは、2週間前のウェスタン&サザン・オープンの決勝も、この2人の対戦カードになったことでも明らかだ。

 ただこの時は、大坂がケガで棄権し対戦は実現せず。幻に終わった頂上決戦の決着をつける機会は、全米オープンに持ち越された。

「すごく興奮してる! 先週も楽しみだったけれど……今回は対戦するだろうし、素晴らしいファイナルになるんじゃないかな。そうなればいいし、楽しみたい」

 エゴを振り払い、チャレンジャーの立場に身を置く31歳は表情を輝かせる。

 対する22歳の第4シードは、「相手が誰かは関係ない。周辺情報には捕らわれず、自分のことに集中したい」と淡々と述べた。
 
 4年前の初対戦時とは、立場が違う。この決勝戦が持つ意味合いも、恐らくは両者の中で多少異なる。

 それでも、喫した敗戦から多くを学び、「人間的に成長した」と声を重ねる2人は、いずれも3度目のグランドスラムタイトルを懸け、踏破してきた全てをコートでぶつける。

文=内田暁

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