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海外テニス

極度の緊張に襲われた大坂を覚醒させた、フィセッテコーチの言葉【全豪オープン】〈SMASH〉

内田暁

2021.02.08

 第1セットを6-1で奪った大坂は、以降も、アクセルを踏み込む足を緩める気配がない。第2セットは、奪った10本のウイナーに対し、エラーはわずかに3本。好敵手を1時間8分で圧する、完勝といえる内容だった。

 前述したような、試合前に密に話し合えるコーチとの関係性は、一年前には欠けていたピースだと大坂は言う。

「去年は彼の前に出ると、緊張してあまり話せなかった。でも今は、何でも話せるようになった。彼のオッチョコチョイな一面もけっこう見えてきたしね」

 大坂がそう笑えば、フィセッテも「去年の全豪オープンの後から、密にコミュニケーションを取るようになったんだ」と、大坂の言葉を裏付ける。
 
「特にフェドカップ(昨年2月)の時に、じっくりと話し合った。去年の全豪の頃は、彼女が試合前にナーバスになっている時、僕は話しかけるべきかどうか迷い、結果、あまり話しかけなかった。だがそのことを彼女に聞いたら、『そんなことない、そういう時はむしろ話したい』と言う。だから昨年の全米オープンの時には、試合の前もよく話すようになり、信頼関係を築けたと思う」

 ちなみに去年のこの時期、大坂はフィセッテを「プロフェッサー」と呼んでいたが、「今ではもう、そんな風には呼ばれないね。ただの『ウィム』だよ」と、知性派で知られるコーチは苦笑いをこぼした。

 今の彼女は、自分の弱さを隠そうとはしない。

 緊張や不安を自明のこととして受け止め、その重圧を信頼できるチームスタッフたちと共有しながら、2年ぶりの全豪頂点奪取に向け、大坂はこれ以上ない好スタートを切った。

文●内田暁

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