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海外テニス

プラスにできるかは人それぞれ。隔離下での異なる練習条件が選手にもたらした影響は?【全豪オープン/現地発リポート】〈SMASH〉

内田暁

2021.02.17

ボンドルソワと練習した日比野菜緒は、そのタイミングの早さと自在さにリズムを乱しかけたという。しかし今後の自分な必要なものも会得できた。(C)Getty Images

ボンドルソワと練習した日比野菜緒は、そのタイミングの早さと自在さにリズムを乱しかけたという。しかし今後の自分な必要なものも会得できた。(C)Getty Images

 ところが、ザハルカコーチも乗るロサンゼルス発のチャーター便から陽性者が出たため、コーチは“ハードロックダウン”に。練習相手がいない危機を迎えるなか、ザハルカは同じチャーター便に乗っていたジャン・シューアイのコーチと話し合い、土居とジャンが一緒に練習することが決まった。ジャンも腕をケガしていたため、「お互いにちょうどいいね、ゆっくり調整していこう」ということでの合意だったという。

 土居にとってやや誤算だったのは、本来なら2週目から4人での合同練習になるはずが、ハードロックダウンの選手が出た都合で、2週間通してジャンとしか練習できなかったこと。加えて、ジャンのケガの状態が土居以上に悪かったため、最後までポイント練習ができなかったことだった。

 日比野菜緒は、当初の練習パートナーがハードロックダウンとなったため、急きょ、同じ状況にいる選手と組むことに。その相手が、一昨年の全仏オープン準優勝者のマルケタ・ボンドルソワ。予期せぬ事態ではあったが、この変更は、長い目で見た時には僥倖だったかもしれない。
 
 ボンドルソワの武器は、ボールを捉えるタイミングの驚異的な早さと、相手を押し込んでから突如放つドロップショット。世界20位の実力者との練習に、日比野は当初、自分のリズムで打つことも叶わず「結構落ち込んだ」という。

 ただ、自らも早いタイミングで前に入っていくテニスを標榜する日比野にとり、そのスピード感を2週間みっちり体感できたことは、結果として貴重な経験となった。また日比野だけでなく、帯同するトレーナーも、トップレベルのテニスを目の当たりにし「あのテニスに対抗していくには、こういうトレーニングが必要だ」と知識とモチベーションを得た様子。その経験が生かされるのは、ここから先かもしれない。

 海外では、気の知れた友人同士で練習したというケースも多いようだ。

 アナスタシア・パブリチェンコワは、ダブルスもよく組むアナスタシア・セバストワと2週間練習。ただ「試合で当たったらどうしようという意識が頭のどこかにあり、完全に練習に集中しきれなかった」と言った。ちなみに2人は、全豪の前哨戦で対戦。予感は現実となった。
 

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