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海外テニス

プラスにできるかは人それぞれ。隔離下での異なる練習条件が選手にもたらした影響は?【全豪オープン/現地発リポート】〈SMASH〉

内田暁

2021.02.17

ハードロックダウンのハンディをものともせず4強に進んだのがブレイディだ。それには2つの秘訣があった。(C)Getty Images

ハードロックダウンのハンディをものともせず4強に進んだのがブレイディだ。それには2つの秘訣があった。(C)Getty Images

 ステファノス・チチパスとマイケル・イーマーも、2週間練習コートで時間を過ごし、そして隔離後に対戦したケース。しかも2人の場合は、全豪本戦の3回戦である。

 チチパスとの対戦が決まった時、イーマーは「僕らはジュニア時代知った仲だし、気まずさも隠し事もない」と冷静だったが、実際に試合をしたチチパスは「試合開始直後は、ストレスを感じていた」と明かした。ただ試合が進むにつれ、チチパスが試合を支配。「今日の試合は、スタジアムから気候まで、マイケルと練習していた14日間と似た同じ環境だった」ことは、最終的には「助けになった」と世界6位は言った。

 最後に――冒頭で、「ハードロックダウン下にあった選手の早期敗退が目立った」と書いたが、その中でジェニファー・ブレイディは、昨年の全米オープンに続きベスト4入りの快進撃を見せている。

 カレッジからのプロ転向組で、昨年は欧州に拠点を移し急成長を遂げた25歳は、ハードロックダウンを乗り切った秘訣を2つ挙げた。
 
 1つは、「不平不満を言わない」こと。「世の中では、ホテルの部屋に14日間こもること以上に、もっともっと大変なことが起きている。テニスオーストラリアは最善を尽くしてくれているし、身体も動かせるのだから、できることをやろう」と自分に言い聞かせたという。

 もう1つは、「オフシーズンに厳しいトレーニングをし、身体を仕上げてきた」こと。「しっかりトレーニングしてきていれば、理想的な条件ではなくとも部屋で動けるのだから、フィットネスレベルが2週間でそこまで落ちるとは思えない」と、セミファイナリストは明言した。

 いつもとは異なる環境下で行なわれた今大会で、最終的に頂点に立つのは誰か? シーズン冒頭の条件の差異が、いかなる影響を及ぼすのか? そのような視点で今大会を、そして今シーズンを見ていくのも、また趣深いかもしれない。

現地取材・文●内田暁
 
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