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海外テニス

ジョコビッチが”ぶちまけた”全豪オープンの舞台裏。メディアの攻撃に辟易、コーチも激昂「誰もがノバクを叩いた」【現地発レポート】〈SMASH〉

内田暁

2021.02.23

優勝を喜ぶジョコビッチチーム。右がイバニセビッチ。(C)Getty Images

優勝を喜ぶジョコビッチチーム。右がイバニセビッチ。(C)Getty Images

「彼は悲痛なまでに、この優勝を必要としていた」

 やはり決勝戦後の会見で、元世界2位の“レジェンド・コーチ”が、選手の想いを代弁する。

「高い所から見ている人物は、彼がどれだけ不当な目にあってきたか知っているだろう。昨年の全米オープンでの出来事、そして全仏オープン決勝での不甲斐ないプレーを受け止めるのは、簡単なことではない。ここに来てからの彼は、14日間の隔離生活を送りながら、他の選手たちを助けようと務めた。立ち上がったのは彼だけだった。なのに、誰もがノバクを攻撃した。他に叩く人がいない、じゃあノバクを叩いておけ……とでもいうように」

 イバニセビッチの言葉は、止まらない。「大会が始まりケガをしても、今度はそれを疑った。彼は(ケガをした)フリッツ戦の後にMRIも撮ったんだ。医師の説明も受けた。痛みにどう対処するか、どれくらい我慢できるかは人それぞれだ。鍵となったのは、ラオニッチ戦、そしてズベレフ戦。そこからはどんどん良くなってきて、今日の試合は傑作の類だ。信じられない、信じがたいパフォーマンスだ」
 
 勝利を「欲していた」ではなく「必要としていた」と表現するあたりに、切迫感が込められる。そのイバニセビッチの発言を伝え聞いたジョコビッチも、コーチの意見に同意した上で、隣に置かれたトロフィーに一瞥を投げると、会見室を見渡すようにして断言した。

「結局のところは、誰しも自分の意見を述べる権利はある。それに対し、反論するかどうかは僕の問題だ。僕は、自分のパフォーマンスが、雑音により乱されることを良しとしなかった。このトロフィーを勝ち取ったことこそが、僕からの返答だ」

 すでに、ランキング1位の最長在位記録更新を確定させているジョコビッチは、「これで、グランドスラムに集中できる」と、さらなるタイトル獲得と記録更新に焦点を定めた。

現地取材・文●内田暁

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