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【テニスギア講座】創業者名に地名も――意外に知らない、ラケットブランド名の由来とは?〈SMASH〉

松尾高司

2021.03.21

テニスショップの壁に掛けられるラケットの陳列方法は色々あるが、ブランドごとにまとめられているショップもよく見かける。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

テニスショップの壁に掛けられるラケットの陳列方法は色々あるが、ブランドごとにまとめられているショップもよく見かける。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 そこで会社幹部たちは、苦肉の策として他社の副社長をしていたトマス・E・ウイルソン氏を招いて社長に据えることで、州政府を納得させ、ついに社名を『トマス・E・ウイルソン社』にするのです。そして31年までにボールスポーツ関連の多くの企業を買収し、社名を「ウイルソン・スポーティング・グッズ」とするわけです。創業者名を当時の大統領の名前にこじつけたというのが面白いですね。

『ダンロップ』は、英国のジョン・ボイド・ダンロップ氏が、1888年に世界初の空気入りタイヤを発明して、自動車産業発展の一翼を担うタイヤメーカーとなりました。同社がスポーツ用品の製造販売を始めたのは1931年からで、50年代には英国内で最大のボールメーカーだった『スラセンジャー』と並ぶほどとなり、ラケットの製造販売でも急成長して、『マックスプライ』は世界的な有名モデルとなりました。
 
 創業者の名前が由来となるケースが多い中、特殊なのが『プリンス』です。創業は1970年、米国ニュージャージー州プリンストンに、テニスボールマシンのメーカーとして始まり、その地名から『プリンス』と命名されます。ロイヤルスポーツが起源…というわけではないんですね。

 一方、47年にラミネートメタルスキーを発明したハワード・ヘッド氏は、50年に『ヘッド』の創業者として大成功を収めましたが、67年に経営から退いて悠々自適生活。趣味のテニスをしていて、誰でも簡単にプレーを楽しめる「デカラケ」を発想し、76年にプリンスブランドから『プリンスクラシック』を発表しました。これがボールマシンメーカーだった『プリンス』を、ラケットメーカーとして有名にしたのです。

 いかがでしょう。ブランド名の由来には色んなドラマがあります。知っておくと普段使っているギアにも愛着が湧くのでは?

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2017年1月号より抜粋・再編集

【PHOTO】様々なブランドのラケットを使用するトッププロたち
 

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