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海外テニス

【レジェンドの素顔9】ミスもするがエースも取る。テニス界に変化をもたらした男、ジミー・コナーズ│前編<SMASH>

立原修造

2021.08.11

テニスのプレースタイルに変化をもたらしたコナーズは、テニス界の寵児となった。写真:THE DIGEST写真部

テニスのプレースタイルに変化をもたらしたコナーズは、テニス界の寵児となった。写真:THE DIGEST写真部

 象徴的な例を一つ紹介しよう。ローズウォールのサービスは、エースを取れるほど威力はなかったが、プレースメントが完璧だった。コーナーを深く突いて相手を苦しめる。上背のない(170センチ前後)ローズウォールにとっては、それが最良の策だった。

 そのサービスを、コナーズはことごとくリターンエースで仕留めた。呆然と見送るローズウォール。なす術がないといった顔付きだ。コナーズは、さも当たり前のように表情一つ変えない。万事がこの調子だった。

 6-1、6-1、6-4。スコア以上に、両者の質量の差というものを思い知らされた試合だった。丹念にプレースメントを工夫しながらゲームを組み立てようとするローズウォールに対し、コナーズは持ち前のパワーを発揮して一発でケリをつけた。

 両者は2か月後の全米オープン決勝で再び顔を合わせた。もう、ローズウォールの雪辱を期待する人など、ほとんどいなかった。せめて、ローズウォールが恥ずかしくない試合をしてくれることを祈るのみであった。しかし、結果は、さらにひどいものになった。
 
 6-1、6-0、6-1。

 汗一つかいていないコナーズに対して、ローズウォールの方は、精も根も尽き果てたという感じだった。全米決勝100余年の歴史の中で、これほど大差のついた試合は他に一度もない。ローズウォールが引退を決意するはずである。
 
ミスもするがエースも取る強打

 1974年に全豪、ウインブルドン、全米を制して、一躍、テニス界の寵児となったコナーズ。テニス協会とのトラブルでフレンチ・オープンには出場できなかったが、もし出ていれば、バッジ、レーバーに続く男子3人目のグランドスラムも間違いなかっただろう。

 また、この年は20大会で16回の優勝を達成。100戦以上も消化しながら、たった4回しか負けていない。

 コナーズは強いだけではなかった。テニス界の流れを一変させるほどの強い影響力を持っていた。
 
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