専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

【レジェンドの素顔9】ミスもするがエースも取る。テニス界に変化をもたらした男、ジミー・コナーズ│前編<SMASH>

立原修造

2021.08.11

コナーズが使用したスティール製のラケットは注目の的となった。写真:THE DIGEST写真部

コナーズが使用したスティール製のラケットは注目の的となった。写真:THE DIGEST写真部

 プレースタイルを例に挙げよう。コナーズは一球ごとに気合を入れ、常に思いっ切りボールを強打した。相手に息もつかせないほどだ。特に、誰もが目を見張ったのは、コナーズの強打ぶりだった。つまり“フルスイング打法”だ。

 コナーズよりパワーのあるプレーヤーはいくらでもいた。しかし、コナーズほど、どんなボールでもフルスイングするプレーヤーはいなかった。その快感に観客は酔った。

 それまでのプレースタイルというのは、ジャック・クレーマーに代表されるような“パーセンテージテニス”が主流だった。つまり確率を重視し、プレースメントやゲームの組み立てをテニスの基本に置いたのだ。ローズウォールしかりだ。

 しかし、コナーズは違った。ミスをする確率は高いとしても、それ以上の確率でエースを取れるならば、積極的に強打すべきだとコナーズは考えた。

 ミスもするがエースも取る。

 それがコナーズのテニスだった。単純明快であり、何よりもゲームがスピーディになって、おもしろい。観客は大喜びして、コナーズの試合にかけつけた。
 
 ある統計によると、1974年の1年間だけでアメリカのテニス人口は50%以上も伸びたという。その数、3000万人以上。

 キング夫人とボビー・リッグスの世紀の異性対決やクリス・エバート人気も引き金にはなったが、なんといっても最大の原動力は、コナーズのプレーそのものであった。

 さらに、コナーズのラケットも大いに注目の的になった。彼は当時まだ少なかったスティール製を使っていた。ウッドしか知らない人たちにとって、これは大きな驚きだった。

 そして、コナーズに続こうとする者は、こぞってスティール製を使い出した。スティール製ラケットを普及させる上で、コナーズが担った役割は実に大きかったのである。

 スティールが先がけとなったラケットの素材改良も、その後はグラファイト、ケブラーへと移った。それでも、コナーズはガンとしてスティール製ラケットを手放そうとはしなかった。ラケット一つを取っても、コナーズという男がよくわかる。

~~続く~~

文●立原修造
※スマッシュ1987年4月号から抜粋・再編集

【PHOTO】ボルグ、コナーズ、エドバーグetc…伝説の王者たちの希少な分解写真/Vol.1
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号