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国内テニス

届かなかった夢の舞台、美濃越舞が10年間のプロテニス生活に終止符!「自分の中で出し尽くしたと思えてる」<SMASH>

内田暁

2021.08.14

グランドスラムという目標を掲げながらも「最初の4年くらいはなんとくなやっていた」と美濃越は当時を振り返る(写真は引退試合に選んだ2021年安藤証券オープン)。写真=本人提供

グランドスラムという目標を掲げながらも「最初の4年くらいはなんとくなやっていた」と美濃越は当時を振り返る(写真は引退試合に選んだ2021年安藤証券オープン)。写真=本人提供

 当時、抱いていた“プロの世界”は、グランドスラムなどの華やかな舞台。特に印象に残っているのは、ジュスティーヌ・エナンが小柄な身体を躍動させ、大柄な選手を打ち破る姿だった。

 ただ、ジュニア時代に国際大会に出ることがほとんどなかった美濃越には、それはあくまで、テレビやモニターの中の世界。

「グランドスラムジュニアなどに行ったことがなかったので、そこがどういう場所かがイメージできていなかった。ジュニアの頃にそういう場所に行った年の近い子たちは、『ここに戻ってくる』というイメージやモチベーションが描けていた。私も具体的な目標を、若い頃に自分の目で見ておきたかったと思います」

 ここも私の良くなかったところ……と美濃越は述懐するが、それもあくまで、多くを経験した今だからこその気づき。インターハイで準優勝し、知人の伝手で吉本興業からのサポートも決まり、道は自然とプロへと続いていく。その道をひたむきに走っていった当時の彼女に、目指す場所への順路を明確に描くことは不可能だった。
 
 プロ転向当時は、会見や取材などで「目標は?」と問われれば、「グランドスラムです」と答えはする。ただそれも「プロというのは、グランドスラムを目標とするものだ」という固定観念から出た言葉。

「だんだん、本当にそこを私は目指しているのか、言葉に自分が追いついてない感じはありました」

 プロになった頃の胸中を、彼女はそう思い返した。

 漠然と目指すグランドスラムと現実との距離を、どう縮めていけばよいのか分からない日々は、数年は続いたという。

「プロになったばかりの頃は、出ている大会とグランドスラムの違いが激しすぎて、本当に、今いる場所がグランドスラムにつながっているのかイメージできなかったんです。

 最初はアメリカやタイ、中国のITF(下部大会)を転戦してましたが、環境も過酷だし、自分が試合に出て1ポイントとか得ているなかで、グランドスラムに出るには1000ポイントくらい必要。『これ、どうやったらここに届くの⁉』って」

 ランキングを上げるには、どのように転戦スケジュールを組むべきか。どの大会で大きくポイントを稼ぐことを目指すか。

 そのような地図や設計図が描けぬまま、「最初の4年間くらいは、自分としては必死でしたが、今思うと、なんとなくやっちゃっていた」と美濃越は言う。
 
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