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国内テニス

届かなかった夢の舞台、美濃越舞が10年間のプロテニス生活に終止符!「自分の中で出し尽くしたと思えてる」<SMASH>

内田暁

2021.08.14

2017年はITF大会の柏国際で優勝を飾るなどし、1年後には順位を200位台へと押し上げたが…(写真は2017年当時の別大会)。写真=THE DIGEST写真部

2017年はITF大会の柏国際で優勝を飾るなどし、1年後には順位を200位台へと押し上げたが…(写真は2017年当時の別大会)。写真=THE DIGEST写真部

 もとより「知らない場所に行ったり、知らない人と一緒にいるのがあまり得意ではない」というなかで、戦果が出ないツアー生活は、苦痛の比重ばかりが増していく。

「もう辞めたい」

 親には、そんな言葉を漏らすようになっていた。プロ転向から5年ほど経った日のことである。

 ただ「辞めたい」と思いながらも、実際には、続ける可能性が高いことを本人もわかっていた。

 当然ながら、テニスに未練はある。テニスのない自分に何ができるのか不安でもあった。

「色んな人に会って、話をしてみよう」と思い立ち、コートを離れて、自分には何ができるか模索した。

 その中で大きな転機となったのが、信頼できるメンタルコーチとの出会いだったという。
 
「メンタルトレーニングの先生のところもいくつか回ったんですが、ある方とお話しした時、自分の核心が見えた気がしたんです。試合でこういう風にポイントを取っていくとか、スケジュールや自分の気持ちの面も含めて、自分が本当になにを考えているのか気づかせてもらえました。その方と会って、自分で自分をマネージメントできるようになり、そこからテニスも楽しくなったんです」

 もしかしたらそれは、彼女が真の意味で自分の足で立ち、プロテニスプレーヤーとしての道を歩み始めた瞬間だったのかもしれない。

 自分で目標を立て、そこに向かってどの大会に出て、どこでランキングポイントを獲得していくか――そのように物事を主体的かつ体系的に考えられるようになると、練習でやるべきことも自ずと見えてくる。すると、あれほど苦痛だった遠征までもが、楽しめるようになっていた。

「自分の変化に、自分でもびっくりしました。自分で考えているので、過程も楽しめたのが大きいです」

 その変化は、目に見える結果としても得ることができた。

 2017年の柏国際(ITF25,000ドル)で優勝し、以降も安定して上位進出を続けていく。17年初頭に600位だったランキングは、1年後には200位台へ。グランドスラムの予選が見える場所まで、自分の足で駆け上っていった。

 ただ、そこからの最後の1勝を、どうしても詰めきることができない大会が続く。
 
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