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海外テニス

サービスを改造して好調の大坂なおみ。助言したキリオスがその内容を明かす「自分の“間”を取ることが大切だ」<SMASH>

内田暁

2022.03.28

「人生の中でサーブはほとんど練習してこなかった」と語るキリオスだが、大坂への助言は理にかなったもので、彼女のサービス関係の数字は明確に向上している。(C)Getty Images

「人生の中でサーブはほとんど練習してこなかった」と語るキリオスだが、大坂への助言は理にかなったもので、彼女のサービス関係の数字は明確に向上している。(C)Getty Images

 その豪華な練習時に、大坂はキリオスのサービスフォームを、つぶさに観察したという。

「以前の私は、サーブの時に足を揃えていなかったけれど、コーチのウィム(フィセッテ)は、バランスを取りながら両足を付けるようにと言い続けていた。それでニックを見ていたら、彼はこんなふうに片足をスライドさせて足を揃え、爆発力を生んでいた。それは私が、ずっと求めていたテクニックだったの」

 両手の拳を足に見立て、大坂はキリオスの動きを解説する。それは重心移動と同時に、右足を引きずるように軸足へ寄せる方法だった。

 大坂が羨む「テクニック」を、キリオスは試行錯誤の末に修得したのだろうか? その問いにキリオスは、「面白いことに……」と切り出した。

「僕は人生の中で、サーブばかりは、ほとんど練習してこなかったんだ。練習時間の最後に、5分程度肩慣らしでやるくらい。今年の全豪オープン前の3か月間で、サーブを200本以上は打ってないと思うよ」

 これぞキリオスの、キリオスたる所以だろう。あのあまりに自然体なサービスフォームは、いつのまにか自然に獲得したものだというのだ。
 
 そのキリオスは、大坂に送った助言を次のように明かした。

「僕がした最良のアドバイスは、考えすぎてはいけないということ。日常生活のなかでも、自分が制御できることには、ルーティーンがあるはずだ。サーブはテニスのなかで、自分で全てをコントロールできる唯一のショット。だから自分の“間”を取ることが大切だ」

 さらにキリオスは、技術的な改善点についても、言葉を続ける。

「彼女は足をスライドさせて揃えるようにした。これは僕が思うに、ステップを踏むようにして揃えるよりも、勢いが付きやすいと思う」

 その後も、大坂に対し多くの賛辞を述べたキリオスは、「彼女が僕から、サーブ“だけ”を学んだのはうれしいね」とチャーミングに笑った。

 なおキリオスは2回戦で、第5シードのアンドレイ・ルブレフ相手に6-3、6-0で快勝。「調子の良い日には誰にでも勝てるし、悪い日は誰にでも負ける。それが俺」とうそぶくも、先のBNPパリバ・オープンでもベスト8に勝ち上がるなど、ここ最近好調だ。

 一方の大坂も、カロリーナ・ムチョバの棄権により、戦わずして4回戦へ。キリオス仕込みのサービスで勢いを付け、久々の頂点へと照準を合わせる。

現地取材・文●内田暁

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