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海外テニス

「全ての試合は“勝利のチャンス”だ」今も未来を信じるモンフィスの起点はレジェンドからのアップセット【シリーズ/ターニングポイント】

内田暁

2022.05.10

モンフィスが自信と情熱を持ち続けられる鍵となった試合が、2014年デビスカップ決勝のフェデラー戦だ。3か月前の痛い敗戦をバネに完勝を収めた。(C)Getty Images

モンフィスが自信と情熱を持ち続けられる鍵となった試合が、2014年デビスカップ決勝のフェデラー戦だ。3か月前の痛い敗戦をバネに完勝を収めた。(C)Getty Images

 ただこの時、本人はもちろん見ている人々の脳裏にも、3か月前の全米オープンでの出来事がよぎっただろう。この全米でモンフィスは、フェデラー相手に勇猛に攻め、2セットを圧巻の奪取。だが続く第3セット、そして第4セットを奪われるとトーンダウンし、逆転負けを喫したのだ。

 その失意の敗戦後、モンフィスはこう語っている。

「将来は孫に、『おじいさんは史上最高の選手相手に勇敢に戦い、もう少しで勝つところまで行ったんだ』と語り聞かせるよ」

 それから、3か月後。彼は国を背負った大一番で、家族や友人たちが見守るなか、最後の最後まで攻撃の手を、そして進む足を止めなかった。

 8年前のこのフェデラー戦こそが、彼が今も己を信じ、テニスに魅せられ、世界1位を破るポテンシャルを有する所以だ。

 フェデラー戦を「鍵の試合」として挙げた後、一つの記憶の光が他の試合をも照らすかのように、モンフィスは次々と「大切な勝利」に言及した。

「フロリアン・マイヤーとの試合も大きかったな。初のトップ10からの勝利もすごく大きい。あれは2005年、ドーハでガストン・ガウディオに勝った試合だった。ダビド・ナルバンディアンに初めて勝った試合も……あれは大変な試合だったよ」

 花火が次々と点火していくように思い出を辿る彼は、「なんか年寄りになった気分だよ」と、気恥ずかしそうに笑った。
 
 世界の21位として挑んだ先のマドリード・オープンで、モンフィスはノバク・ジョコビッチに3-6、2-6で敗れた。これで対ジョコビッチの戦績は、18敗で勝利はなし。それでも、挑戦者は毅然と言う。

「全ての試合は“勝利のチャンス”なんだ。いつだって敗戦から、新しい学びがある。ノバクは、明日にも僕を破るかもしれないし、ローマやローランギャロスでもそうかもしれない。同時にそれらのいずれかで、僕が勝つかもしれないんだ」

 かつて、“新4銃士”と呼ばれた同世代の選手のうち、ジル・シモンは今季限りの引退を、ジョー‐ウィルフリード・ツォンガも今年の全仏オープンを最後にコートを去ると表明した。同世代選手たちの多くがキャリアに幕を引いていくが、そのなか、モンフィスはまだまだ進む先を見つめている。

 あの頃、いつか手にすると思われたグランドスラムタイトルは、未だ彼の手中にはない。それでも今も彼は変わらず、「テニス界の未来」を生きている。

取材・文●内田暁

【PHOTO】モンフィスをはじめ全豪オープン2022で活躍した男子選手の厳選写真
 
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