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海外テニス

18歳の王者候補アルカラス!大ブレークの転機は2年前の“勝利と敗北”だった【シリーズ/ターニングポイント】

内田暁

2022.04.06

ここにきて急激に存在感を増しているアルカラスだが、2年前に参戦したリオ・オープンでの経験が大きく影響しているという。(C)Getty Images

ここにきて急激に存在感を増しているアルカラスだが、2年前に参戦したリオ・オープンでの経験が大きく影響しているという。(C)Getty Images

 クライマックスを待ち望む観客たちの歓声が、潮が引くように一斉に収まり、スタジアムを静寂が包む。

 ベースライン上で、二度、三度とボールを弾ませた彼は、サービスを叩き込むと同時に、猛然とネットに向かい走っていった。

 相手のリターンは浮き上がり、彼のもとへと、吸い寄せられるように飛んでいく。走る足を緩めることなく、なおかつボールを包むように柔らかく、彼は無人のコートにボレーを沈めた。

 刹那、勝者はコートに両手を広げて倒れ、客席で爆ぜる歓喜と祝福の声を、全身で吸い込んでいく。

 18歳のカルロス・アルカラスが、マイアミ・オープン史上、最も若いチャンピオンとなった瞬間。

 その直後には跳ね起き、対戦相手のキャスパー・ルードと握手を交わしたアルカラスは、ファミリーボックスで立ち上がるコーチの元へと一目散に駆けていった。

 若きチャンピオンと固く抱擁を交わすのは、スペインの同胞、ファンカルロス・フェレーロ。今年2月に42歳を迎えた、かつての世界1位だ。

「僕がファンカルロスのアカデミーで練習するようになったのは、3、4年前。彼が、ジュニア指導に力を入れようと思ったタイミングだと聞いています」

 まだ少年のあどけなさを宿す面差しで、彼が師との始まりを語ったのは、昨年2月の全豪オープンの時のこと。当時、17歳。予選を突破し本戦でも勝利を手にした彼は、既に“次代のスター候補”として、注目を集める存在だった。
 
 フェレーロとの関係性について語られた言葉で印象に残っているのは、全豪2回戦で敗れた後の会見時。「コーチとは、どんな会話を交わしたのか?」の問いへの返答だ。

「まだ、試合のことについては話していません。彼は僕が試合から戻ってくるのを待っていて、一緒に昼食を食べ、シャワーを浴び…いつもやることを終えただけで。試合について話すのは、ホテルに戻ってからだと思います」

 グランドスラム初勝利も、そして本人が悔しさをにじませる敗戦も、日常の一部として淡々と受け止め、地に足をつけ歩んでいく師弟の背が見えるようだった。

 そのフェレーロの姿は、今回のマイアミ・オープンで戦う18歳のそばに無かった。フェレーロの父親が急逝したため、スペインに帰っていたためだ。

 だが、アルカラスが決勝進出を決めた翌日、フェレーロは急きょマイアミに駆けつけ、愛弟子を驚かせる。
 
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